本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

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感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 4「疾走」発進せよ、トライチェイサー2000

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kazurex1215.hatenablog.jp

(↑第3話の感想はこちら)

 

 

 

 

クウガ』第4話にして、ついに専用バイクが登場します。その名も「TRCS-2000」トライチェイサー2000。主にスポーツ競技で使われることが多いモトクロッサー型のフォルムで、全体的にスマート。『クウガ』という作品を振り返ってみても、トライチェイサーってずっと登場していた印象があって、雄介が現場に駆けつける移動手段でもあったし、クウガが戦う際の優秀なサポートアイテムだったなあ、と。

 

www.kamen-rider-official.com

 

そもそも「仮面ライダー」にとってバイクは欠かせない存在で、例えばサイクロンやバトルホッパーのように必ずセットで連想するような、象徴的なアイコンだったなあ、と。歴代の仮面ライダー番組の固定概念を覆すことで新しい価値を生んできた『クウガ』でも、そこに外しはなかったんですよね。しかしながら、このトライチェイサーをクウガがいかにして手に入れるかの過程であったり、そのドラマの活かされ方に思わず膝を打ちました。

 

 

前回の第3話でのクウガ=雄介オダギリジョーが警察に包囲され、銃口を突きつけられる衝撃的な幕引きから始まるオープニング。リアタイしていた時は「あの終わり方でこれからどう話が進むの…??」とドキドキしていたんですが、まさか本当に撃たれるとは思ってもいませんでしたね。

 

「撃て!!」の掛け声と共に、何の躊躇いも無く銃弾を発射する警察。そしてクウガとメビオの周りに火花が飛び散る。ここであらためて見せつけられるのが、警察にとってこの二体は「未確認生命体」という認識だということなんですよね。クウガが人間の味方だという視点は、あくまで視聴者だけのもの。もちろん未確認生命体に銃弾が効かないのと同じでクウガにも全く通じないんですけど、発砲音が鳴り止まず乱れ撃たれ続けるあのシーンの絵面は、かなり衝撃的でした。




第3話から新たに登場した二人のキャラクターは、どちらも警視庁の刑事でしたね。先頭で指揮をとっていたのは、警視庁捜査一課の杉田刑事(松山鷹志)。その杉田刑事と共に前線に出て戦っていたのは、同じく捜査一課の桜井刑事(米山信之)。実はこの二人、当初レギュラーの予定になかったらしいんですけど、この二人が今後クウガをサポートする頼り甲斐のあるキャラクターへなっていくことは周知のこと。

 

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未確認生命体は血液の組成が人間とほぼ同じことが判明したわけですけど、それを裏付けるかのように彼らに流れる血の色が赤色っていうのは、ちょっとゾクッとさせる怖さがありますよね。警察からの銃撃で致命傷は逃れたメビオも、神経が剥き出しの目は防ぎようがなかったのか、被弾して片目を失明してしまう。それが逆鱗に触れたことで、警察官を手当たりしだいに襲っていく。

 

 



五代雄介という人間の明るさのおかげで、どれだけこの作品のバランスが取れているかっていうのを強く感じるんですよね。本来なら味方であるはずの警察官に周囲を取り囲まれて、躊躇いもなく銃撃されたらかなりショックだと思うんです。それを笑い話に変えてしまって気にも留めない。こう書いてしまうと、雄介ってただの能天気に思えるかもしれないんですけど、そこに説得力を感じられるのは、第2話での戦う決意が軸となっていて彼自身を支えているからこそだと思うんですよね。ヒーローとしての通過儀礼をどう終えるのか、どこを起点として今の彼があるか考えると、雄介の「大丈夫!」という言葉にも不思議な説得力が生まれるんだなあ、と。



そんな雄介の覚悟を目の当たりにしても、どうすべきなのかを悩んでいる人物がいて、それが一条さん(葛山慎吾)なんですよね。彼の悩みは一つだけ。「一般人を巻き込みたくない」ということ。未確認生命体と戦う力を手に入れても、その力を使って戦う義務はないし、中途半端に関わっても自分の身を滅ぼすだけだと、一条さんは雄介に激昂した。一条さんにとって、雄介もただの民間人で、警察官である自分が守るべき対象であることに変わりはない。

 

 

 

しかし、警察の力では現状対処することは難しいし、何よりも一条さんの体に限界が出ていることが如実に描写されているんですよね。骨折も治りきってないまま捜査に向かうも、誰にも見えないエレベーター内で苦悶の表情を浮かべたり、ゴオマに突き飛ばされて立つことすらままならない(第3話)。警察官という職業に矜持を持ち、絶対に市民を巻き込ませないとする一条さんの覚悟を、幼稚園児だった自分はあまり理解できていなかったような気がします。こういう泥臭いカッコよさって、大人になってから見返した時に気付けるのかなあ、と。

 

 

しかしある時、桜子さん村田和美からの電話で、思いがけないことに気が付く。それは雄介と一条さんがよく似た人間であるということ。自分の身も顧みず誰かのために行動する、教会で一条さんを助けた時がまさにそうだった。そんな無鉄砲な行動がいつか自分の身を滅ぼしてしまうということは、怪我を負いながらも戦っている一条さんにとっては、我が身のように痛感することだと思うんですよね。

 

 

「自分をもっと大切にするんだ」

「してますよ。だからこそ自分が大切だと思ったものを守りたいんです。」

 

無線で今なお第5号=メビオが警官を襲い蹂躙しているという連絡が入る。ここでふとポケットに入っていた雄介からのメモを手に取る。

 

「俺、『中途半端』はしません!きちんと関わりますから!!」

 

 



「五代雄介、俺についてこい。」

 

一条が雄介を連れて行った先にあったのが、警察が新たに開発した新型白バイ「トライチェイサー2000」であり、ここでトライチェイサーを雄介に託すんですよね。それはつまり。一条さんがついに雄介を認め信頼したということ、一緒に戦っていく決意を固めた瞬間なのだ、と。つまりトライチェイサーは、一条さんと雄介の信頼の証なんですよね。

 

雄介はクウガへと変身、第5号のもとへトライチェイサーで向かう。ここで「戦士」のBGMが流れる演出がヒロイックで最高なんですよね。現場では警官たちがメビオに必死で立ち向かうものの、一人また一人と次々に殺されてしまう。杉田刑事が殺されそうになった間一髪でクウガが到着。「大丈夫ですか刑事さん!」と声をかけられたときの杉田さんの顔は今でも笑ってしまう。

 

 

 

そしてクウガとメビオの再戦。廃墟へ逃げ込んだメビオをバイクでクウガが追いかけるシーンでは、実際にモトクロスの選手がスーツアクターとして演じているんですよね。急な階段の上りはもちろん、障害物が道を塞いでもお構いなしで進んでいく。すごく狭い場所であっても前輪を壁に当ててそこからくるっと回転して向きなおったり、車の上に上ってさらにタイヤを浮かせて進んだり、前輪を軸にして後輪をぶつける攻撃とか、正直魅せたいバイクアクションが先行しすぎている気がしなくもないんですけど、こういうこだわりが全面に出ている絵面ってグッと引きこまれるものがありますよね。とにかくバイクアクションがカッコいいんですよね……。

 

 

アクション演出でも上手いと思うのが、雄介が白バイを運転してメビオを追いかけていた時、階段を白バイで登れなかったシーンがあったところ。ここで今の白バイではメビオに太刀打ちできないことを示して、トライチェイサーではガンガン階段を登っていく。言ってしまえば対比の演出ってオーソドックスな手法なんですけど、格の違いを画で見せるっていう丁寧な作品作りというか、当時も見ていてトライチェイサーって、ホントにすげえバイクなんだ……!!」と感動していたのを覚えています。

 

 

 

グムンやゴオマに比べて、メビオは格闘戦を得意としていて、一挙手一投足に無駄のない攻撃でクウガを翻弄していく。戦闘経験が浅いがゆえに最初は追い込まれるも、やはり雄介の身体能力の高さが活かされているのだろうけど、徐々に形勢を逆転していく。カウンターを決める形でメビオに反撃、その一瞬の隙を突いてマイティキックを決める。

 

そして戦いを終えた後にね、ここのシーンなんですよ…。クウガの送るサムズアップに一条さんが背中を向けながらサムズアップを返すシーン、こんなカッコいいサムズアップある???こういうのが似合う大人になりたかった……。




次回はいよいよクウガのフォームチェンジ。

現れるのはバッタの姿をした怪人。

圧倒的な跳躍力を有するグロンギの前に、クウガはどう立ち向かうのか。



それでは次の更新で。

 

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(↑第5話の感想はこちら)