本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

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感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 5「距離」青き戦士、ドラゴンフォーム誕生

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kazurex1215.hatenablog.jp

(↑第4話の感想はこちら。)

 


今回の第5話、そして第6話では、『クウガ』におけるヒロイン枠を担っている桜子さんにスポットが当たるエピソードとなっています。雄介とは大学時代からの友人である桜子さんは、彼がクウガとして戦うことを頑なに拒否してきました。そんな桜子さんがなぜ雄介のサポートを務めることになったのか。さらにクウガの新たな姿も登場する第5話、早速いってみましょう。

 

 

 

 

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ついに警察が未確認生命体の存在を公に発表、報道各所もその話題で持ちきり。さらにそれを受けて諸外国の反応が、各国の朝刊で伝えられる。その知らせを受けて、ひとり怒りを爆発させるのは桜子さん村田和美なんですよね。なぜなら、友人として雄介オダギリジョーがこれ以上戦うことを止めて欲しいと、一条さん(葛山慎吾)に頼んでいたはずなのにクウガがまだ戦っていたから(第4話)。

 


調査団は第0号に命を奪われ、長野県で第1号の恐ろしさを目の当たりにしている彼女にとって、未確認生命体のせいで、また大切な友人が失われてしまうことの怖さがあったと思うんですよね。それに雄介がクウガに初めて変身する瞬間にも居合わせているし、人間ではなくなっていく恐怖というか、桜子さんが怒りをあらわにするのは至極当然だよなあ、と。


クウガじゃないでしょ?五代君でしょ?どうして簡単にそういう気持ちになれるのよ!」

 

 

 

 

ここで多数登場した新たなキャラクターにも注目したい。

 

日本語がとても上手な大学院生のジャン・ミッシェル・ソレル(セルジュ・ヴァシロフ)ルーマニア出身で桜子さんと同じ研究室に所属している。劇中設定では27歳らしく、今の自分とちょうど同い年だということに驚きましたね。彼はとある家族と関わっていくことになるんですけど、シリアスな展開が続く終盤において、彼の優しさが本当に温かかったのを覚えています。

 


そして、ギャグ要員として今後登場していくのが、雄介の居候している喫茶店「ポレポレ」のマスターおやっさん(きたろう)。本名は飾玉三郎(かざりたまさぶろう)。暇さえあれば冒険家だった時の話を披露し、時折オヤジギャグを飛ばしてくる空気感が『クウガ』という作品の中ではかなり異質なんだけど、おやっさんは別格というか出てくるだけで不思議と安心しちゃうんですよね。「オリエンタルな味と香りの店、ポレポレです」という宣伝文句はなかなか頭から離れない……。

 

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さらに雄介のベルトの秘密を紐解いていく上で、重要なキーパーソンとなるのが関東医大病院に勤める法医学士、椿秀一(大塚よしたか)。一条さんとは高校時代からの友人だったこともあり、体に異常がないのかを雄介にも診察を促していましたね(第2話)。医者のキャラクターが登場することで、医学的な観点も織り込まれることになるのが、ロジカルな辻褄合わせを大事にする『クウガ』らしいな、と。


雄介の体をCTスキャンしたことで、ベルトの構造が判明する。ベルトから全身へ無数の神経組織が伸びており、それが驚異的な身体能力を生み出していること。もしこの神経組織が脳にまで到達すれば、人間ではなくなってしまうこと。それはつまり、戦うためだけの生物兵器になることを意味する。ここでサラッと右足が熱くなった=マイティキックの発動要因を説明しているのが上手い。


今は理性を保って戦えているかもしれないが、クウガへ変身し続けるというのはグロンギに近づいていく可能性があるんですよね。こんな衝撃的な事実を伝えられても、相変わらず雄介は笑顔とサムズアップで応えるわけなんだけど、クウガグロンギ紙一重の存在であることは、物語における重要な縦軸であったりします。今思えば、こんな序盤から示唆されていたことだったんですよね。

 

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今回、クウガが対峙するのは未確認生命体第6号=ズ・バヅー・バ。グロンギの中でも印象に残るキャラの一人なんですけど、バッタがモチーフで首にはマフラー、発達した脚力から高所へのジャンプ、そして強力なキック技を繰り出すなど、「仮面ライダー」を意識しているんですよね。人間体を演じる小川信行さんは後年「ウルトラマンマックス」でコバ隊員を演じていましたね。

 

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その脚力を活かし、人間を高層ビルなどの高い場所に連れていき、そこから突き落とすというやり方で人間を一人一人殺していく。ホームレスの男性が襲われるシーンは直接的に「死」が描かれていて、引きの画で画面外から男性が落ちてくる生々しさ、地面にゆっくり血が流れてくる。分かりやすく死体を提示するよりも、あえて描かないことで視聴者に想像させてくるのが怖いんですよね。

 


バヅーによる殺害から一転、雄介が現場に駆けつけるシーンに切り替わるんですけど、ここのシーンが個人的に大好きなんですよね。前シーンの続きで重く苦しい劇伴が流れて、不穏な空気を感じさせるんですけど、そこからトライチェイサーがトンネルへ入り、変身音と共にクウガへと変身する。その瞬間、劇伴が「戦士」へと切り替わる。さっきまで漂っていた陰鬱な空気が一気に消し飛んで、クウガ=雄介が何とかしてくれるという期待に溢れてくるというか、ヒーローの登場っていうど直球の演出だと思うんですよね。このシーンに限らず、『クウガ』は音楽の使い方が絶妙なので、未だに劇伴がずっと印象に残っている要因なのかも。

 

 

 


現場では警官2人がバヅーに立ち向かうものの、まるで歯が立たない。バヅーに捕まった一人の警官がビルの上から落とされたところを、間一髪でクウガが救出。ここでバヅーがグロンギ語をクウガに向かって話すんですけど、やっぱり視聴者にはさっぱり分からない。

 

しかし、よく聞いてみると「ズ・バヅー・バ」って自分で名乗っているんですよね。これも上手いなあと思っていて、怪人が自分の名前を名乗るという特撮のお約束に、もちろんこのままやってしまうと『クウガ』の目指す作風とは逆行してしまう。しかし、それをグロンギ語ですることにより、その名乗りが自然に出せる+視聴者にとって貴重な情報、に取って代わるんですよね。

 

 

 

挑発されるがままバヅーについていくと、そこはクウガを取り囲むかのように階段が続く踊り場。高所を利用した錯乱と、不意打ちでキックを食らい怯んでしまうクウガ。反撃を試みても、ジャンプで高所に逃げられてしまう。バヅーに追いつこうとクウガもジャンプをするが、高さが足らず返り討ちにあってしまう。

 

クウガが必死になって階段を駆け上がっていくんですけど、この仮面ライダーらしからぬカッコ悪さが、クウガの劣勢をより強めているんですよね。何度駆け上がっても地面に叩きつけられる。完全にバカにしたバヅーの態度がムカつくといったらありゃしない。

 


今のクウガでは絶対にバヅーに勝てない。雄介の悔しさへ応えるかのようにクウガの踝が青く光り、地面を蹴り上げた瞬間、クウガの体が見る見るうちに青く変化する。バヅーのもとに辿り着いたクウガは赤い戦士ではない、これが青い戦士「ドラゴンフォーム」

 

 

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普通だったら新フォームのお披露目は、派手な演出と敵を圧倒する強さでその初登場回を終えるんですけど、クウガはまさかの敗北で終わるんですよね。ビル郡を駆け抜けながら再びバヅーと戦うクウガ。ドラゴンフォーム特有の素早い身のこなしと、高いジャンプ力でバヅーに立ち向かうが、その反動で青いクウガは打撃力が著しく低下するんですよね。ある能力が発達すれば、差し引くかのように別の能力が弱くなる。まるでジャンケンのような一長一短の特性をもった結果、クウガは再びバヅーによってビルから地面に叩きつけられてしまう。

 

 

この圧倒的に不利な状況を、クウガはどう打開するのか。
桜子さんは戦い続ける雄介に、何を思うのか。
そしてドラゴンフォームの手にする、あの武器はいったい……。

 


続きは次回の更新で。

 

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(↑第6話の感想はこちら)