本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

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感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 7「傷心」少女の祈りは、届かない

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kazurex1215.hatenablog.jp

(↑第6話の感想はこちら)

 


未確認生命体に襲われた被害者遺族にスポットが当たるのが、この第7話と続く第8話である。その被害者遺族というのは、第1話で命を奪われてしまった夏目教授の妻とその一人娘の実加(竹島由夏)。葬式の最中に涙をこらえきれず、家を飛び出して大粒の涙を流していていた、あの少女だ。

 

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被害者遺族のその後を描く意味を考えた時に、それは「命の重さ」を再認識させるためなのかなと感じている。これまでの6話分だけでも、グロンギによって多くの命が奪われてきた。その残虐な手口で弄ばれるかのように、次々とその数を重ねていくので、視聴者にとってはどこか非現実であり遠くにある感覚を抱きがちになる。端的に言えば、人が死にすぎるゆえに実感がわかない、という感じ。

 

 

しかし、ここで被害者遺族という「個」の視点が持ち込まれることで、人の死に対する実感が伴い、非現実だったものが現実的なものへ変わっていく。未確認生命体に襲われた民間人や殉職した警察官、画面の中で淡々と死んでいくその一人一人に、彼らを想いその死を悼む家族がいる。そう考えると、画面の中であっても人間が死んでいることへの重みの受け取り方が全然違ってくる。

 

 

ただ、夏目教授や調査団のメンバーに関しては、第0号の被害者なので、まだ何も解決はしていない。だからこそ、第0号の捜査をいち早く進めてもらうために警視庁へ訪れたわけだけど、それがオープニングのシーンへと繋がる。一条さん葛山信吾は唯一の証拠品であるビデオを繰り返し見ては、長野県警から遺跡に関する資料を手配するなど、地道に捜査を続けていた。

 

 

今起こっている未確認生命体による事件にも対処しなければならず、かといって第0号の動向も探っていきたい。しかし、3週間で確認された未確認生命体は7体。そのうち警察が仕留めたのはたったの1体。さらに最低でも200体の未確認生命体が復活したことが判明し、警察も思うように捜査が進められないし、現状の対処で精一杯になっていることが痛いほどよく分かる。

 

 

 

しかし、それはまだ中学生の実加にとっては、「大人の都合」にしか思えない。自分の父親が死んでいるのに、どうして0号の捜査を進めてくれないのか。人が一人死ぬことはどうでもいいことなのか。実加から見た一条さんのちょっとした仕草や視線の置き方に、疑念を抱いている心の機敏がその表情からよく伝わってくる。

 

やっとのことで案内された桜子さん村田和美のいる研究室でも、ジャン(セルシュ・ヴァシロフ)の研究者として悪気のない言葉がきっかけで、内に秘めていた怒りが爆発してしまう。

 

「どうして…どうしてそんな何もなかったみたいな言い方するの。警察だって全然0号のこと調べてくれないし。お父さんは死んだのに!」

 

実加の心からの叫びに胸が痛くなる……。同じ場所に居合わせていた雄介オダギリジョーですら、実加には何の声もかけることが出来なかった。

 
 
 
今回登場するグロンギは、未確認生命体第14号=メ・バチス・バ。蜂の特性を持った怪人で、上空から大きな針を腕から発射し、頭から足先に向かって一直線に貫いていく。直接的な死因はアナフィラキシーショックによるものだが、あれだけデカい針が刺さったら毒以前に即死だろうなとは思いつつ……。

 

今までのグロンギとは違って、バチスは名前の頭文字が「ズ」ではなく「メ」から始まっている。これにも意味があって、劇中でも羊皮紙のようなものに紋章がそれぞれ郡となって描かれていたように、グロンギもその中でグループ及び階級が分けられている。サイの姿をした怪人とピラニアのような怪人が小競り合いを始めようとしていたのも、内部争いがあるからだ。

 

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上空から15分間隔で螺旋状に動き、規則的に人間を殺していくのがバチスのルール。この殺害シーンもなかなかにショッキングで、頭上から針を一撃くらった人間は目を見開き、その場で倒れこむ。買い物帰りの主婦、自転車の乗車中、部活動中の学生、電話をしているサラリーマン、針を撃たれたら一瞬にして死んでいく。場面が切り替わっていき、次々と人が倒れていくシーンはある意味で小気味よく、そのテンポ感がより一層恐怖を引き立てていたなあ、と。
 

 

 

警察側の新たなキャラクターとして強力な助っ人、榎田ひかり(水島かおり)が初登場した。後ろで一本に束ねた長い髪、額縁のない丸眼鏡に白衣、ハキハキとした物言い、同じ放送局のドラマ「科捜研の女」に出てきそう。演じる水島かおりさんは「ウルトラマンダイナ」でもサエキ・レイカ役で登場している。バチスの毒針を分析したことなど、科学的な知見を持ってこれからも警察をサポートしていく。

 

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一方、ゲゲルに選ばれたバチスが次々に殺戮を開始する。街では民間人の命が次々に奪われていく中、一条さんと雄介はその規則を瞬時に解明し、次に殺戮が行われるであろう現場へと急行した。走りながらの「変身!」という掛け声と共に、クウガへと変わるシーンは今回が初めてなんだけど、こういうのはヒーローらしくてやっぱりアツいんだよなあ、と。
 


クウガへ変身した雄介は、バチスと肉弾戦を展開する。現代のアクションシーンに比べると、この頃の格闘シーンはCG演出や火花による効果がほとんど無いので、打撃音のSEと生身のアクション、壊されていくセットだけで演出されている。画的な派手さにはどうしても欠けてしまう部分があるんだけど、ふっ飛ばされた反動で破壊される配管のように、実物を壊すことで得られるリアリティもあるというか、その緊迫感は充分にあったなあ、と。
 

 


マイティフォームの打撃で怯むあたり、バチスは格闘戦を得意としていないのだろう。自身の不利を察したバチスは、上空へ逃走。階段を駆け上がるクウガは、スピードに優れたドラゴンフォームへ変身する。青のクウガで上空にいる敵に対処できるか?という一条さんの問いに、ここで答えが出されてしまう。


バチスの姿は全く捉えることが出来ず、どこにいるかさえ分からない。僅かな羽音が響いても、不意打ちを食らってしまう。姿を隠しながら攻撃を仕掛けるバチス、それを懸命に探すクウガ。そして一瞬の隙を突かれて、屋上から落とされてしまう。鉄柵にしがみつくも、見る見るうちに体色が変化し、緑色へと変化。これがクウガ第4の姿、ペガサスフォーム。しかし、突然クウガの脳内に様々な情報が押し寄せてしまい、屋上から墜落してしまう。

 

 

またもや新フォームになったところで幕切れとなってしまい、その活躍は次回に持ち越すことになった。ペガサスフォームの真価とは、そして一人飛び出してしまった実加は何を思うのか。

 

それでは次の更新で。

 

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(↑第8話の感想はこちら)