本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

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感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 16「信条」纏う装甲と親子の絆

 

 

 

 

kazurex1215.hatenablog.jp

(↑第15話の感想はこちら)

 

 

 


その名はトライゴウラム。

 

古代遺跡から蘇った甲虫「ゴウラム」が「トライチェイサー2000」に合体したマシンである。ゴウラムを解析した古代文字に「馬の鎧」という意味が含まれていたように、現代における「馬」の役目を担う専用バイクへ上下に分離して合体していく。超古代ではもちろん生身の馬にゴウラムは合体していたわけで、そうするとどんな姿になっていたのだろうか…という想像が膨らんでしまう。

 

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トライチェイサーが全体的にスマートで線の細いフォルムだったこともあり、ゴウラムが装着されたことでシルエットが変化し、重装甲化するのが本当に素晴らしいんだよなあ、と。ベースになっているのはヤマハのVMAXという車種らしい。当時発売されていた装着変身シリーズのTRCS-2000とゴウラムの玩具は、今でも大切に飾っている。変形機構もしっかり再現できたので、プレイバリューも高かったんですよね。

 

 

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(↑一緒に飾っているのは真骨彫製法のクウガ。)

 

 

トラックで暴れるギャリドにトライゴウラムで応戦するクウガ。間一髪で衝突を免れるも、トライゴウラムは突然その機能を全て停止してしまう。たとえ新しい姿や武器を手に入れても、いきなり使いこなせずに予期せぬエラーが発生するのは、もう当たり前だけど『クウガ』だからこそ。お約束どおりにはいかないよね、と。

 

 

一転して窮地に陥るクウガだが、ここでドラゴンフォームへ超変身し攻撃を回避。俊敏性に特化したドラゴンがフォームの中で一番機能性に長けていることを制作陣も自覚しているのか、ちょっとした登場が実は多い。

 

そして、あのシーンはここが初出しなのである。

 

 

 

 

 

 

黄色と黒の棒のやつ!!!!!

 

 

 

 

これを蹴り上げて!!!!!

 

 

 

 

ドラゴンロッドへ変形!!!!!!

 

 

 

 

くうううううううう!!!!!!!!!!

 

 

 

 

このシーンに出会ってから20数年。コーンとコーンの間に架けられたこれを見る度に「蹴り上げたい……蹴り上げたい……」と願い続け、工事現場で大量に山積みされた黄色と黒の大群を見る度に「持って帰りたい……一本だけ……」という欲望に駆られつつ生きてきた。その願望は今も自分の中に残っているので、これを目にした時にふっと湧いてくる衝動を抑えるのに必死なのである(この発言だけ見るとただの異常者じゃん)

 

 


ここでギャリドを撃破したかに思えたが、実は地下の下水道から逃走。雄介オダギリジョーや一条さん(葛山慎吾)もこの時点ではまだ気づいていない。全く動かなくなってしまったトライゴウラムは、科警研の榎田さん水島かおりへ分析に回される。

 

 

警察はゴウラムを「未確認飛行物体」と呼称しているくらいなので、トライゴウラムを見て不審と懸念に溢れるのは当たり前なのだが、雄介だけが感じる独特のフィーリングというか、ゴウラムは人間の味方であることをあのキャラで説得させてしまうのが、ちょっとずるくも感じてしまう(いい意味で)。キャラの描かれ方の賜物だろう。

 

 

その上で一条さんもゴウラムを信じた雄介の判断を信じ、松倉本部長石山雄大へその処遇を任せてほしいと頼みに出るあのシーンが、グッとくる。本部長はその申し出を承服しかねるという理由で一旦は却下するんだけど、これまで第4号が数々の未確認生命体を撃破したこと、多くの市民や警察官を救ってくれた実績を考慮し、実質的に一条さんへ一任することを了承した。

 

最前線にいる現場と理解のある上層部が一体になって対応することがどれほどノンストレスで凄いことなのか、社会人をやっている身だとこういう部分に染みるものがある。松倉本部長は今後も第4号への処遇に関して臨機応変に対応する理想の上司なのだけど、そこはその時に語ることにする。

 

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こうして社会人になった自分があらためて『クウガ』を見直すと、気付けなかった良さに立ち止まれる反面、「これってどうなんだろう?」と感じてしまう部分もあるのが面白いところ。それは母親(東山明美が倒れたという知らせが入っても、現場を第一とする一条さんの優先順位の付け方である。これと対比させるように、一旦の区切りがついた杉田刑事松山鷹志は娘を習い事のピアノへ連れて行くために家に帰る。笹山さん田中恵理は家庭を顧みず多忙にあった自分の父親=警官の姿を一条さんに重ね、警察はそこまでしなくちゃいけないのか?という疑念を榎田さんにも吐露している。

 


一条さんが仕事にストイックでプライベートよりも業務を優先するのは、”警察官だから”ではない。父親が命がけで自分の職務を全うした姿を誇りに思っているからこそ、自分もそうなりたいと思ったから。だから仮にも警察じゃなかったとしても、一条さんはその姿勢で別の仕事に就いていたと思う。

 

ただその反面、「父のような誇れる人間になりたい」が「どんなことがあっても市民を守る」という考えになっているとも言える。命をかけて市民を救う父親から”警察はこうあるべきだ”という理想があって、一条さん自身も無意識のうちにそれを追い求めている節があるんだろうな、と。

 

 

ある種の自己犠牲の精神ともいえる一条さんの行動を、美徳にしてもいいのだろうか。結局一条さんの母親は命に別状はなく、すぐに体調も快方へ向かう。最後に電話でかわされた親子の会話が全てを物語っているように、一条さんの行動を母親は誰よりも理解しているし、仕事一筋の一条さんにも母を想う気持ちがしっかり存在する。この二人にしか分からない親子関係を結びとするエンディング。作劇のバランスとしては、一条さんのキャラ造形に対する解釈で、受け取り方が分かれる部分になるのかもしれない。

 

 

 

 

機能停止状態だったトライゴウラムは、未確認生命体第24号がまだ生きているという情報を聞いた雄介と呼応するように、エンジンを再起動させる。ここで分析のために取り付けていた機械類が、火花を散らせてショートするのがすごく好きだった。こういう精密機械って1台が何百万もするのが当たり前の世界だから、榎田さんからすると溜まったもんじゃないだろうけど……。

 


そしてトラックに乗ったギャリドと再戦。今度は絶対に取り逃がさないという決意も感じる気迫とともに、トライゴウラムがトラックに向けて一直線に突進する。前方のツノに封印エネルギーを込めて、猛スピードでタックルを決める必殺技。これがトライゴウラムアタック。トラックの側面に大きく描かれた封印の紋章から発するエネルギーを受けて、ギャリドは爆散。ゴウラムもまた役目の終わりを感じたのか、遺跡の破片に戻ってしまった。

 

 

 

 

次回はこれまでの戦いを振り返る総集編回。

もちろん感想記事は更新します。

 

 

 

それではまた、次の更新で。