本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

好きなものをどんどん語ります

ルービックキューブを元に戻せなかった高校二年生の自分へ

 

 

 

shonenjumpplus.com

 

年始の「ジャンプ+」でこんな読み切り漫画が掲載されていた。友達作りのためにルービックキューブを始めた見栄っ張りの主人公が、キューブパズルの得意な派手めなギャルに教えて貰いながら、嘘を本当にすべく全面揃えるために悪戦苦闘する読み切り漫画だ。目立つために平気で嘘をつく人生を歩んできた主人公が、徐々に心変わりをして一生懸命にキューブへ打ち込んでいく過程は、とても青春を感じる。読み切りなのでこの一作品で完結するし、サクッと読めてしまうので是非おすすめしたい。しかしジャンプラの読み切り漫画は、粒ぞろいだ。

 

 

これを読み終えた時に、記憶の扉が少し開いた。

実は一時期、ルービックキューブにハマっていたことがある。主人公と同じように教室でずっとこればかりやっていて、肌身離さず持ち歩いていたのだ。


理由はひとつ。

 

女子にモテたかったから。

 

 

高校生の時だ。陸上部に所属していて中・長距離をやっていたが、特に速かったわけでもなかった。学力も平均よりちょい上くらいで、誰にも負けない特技を持っているわけでもない。身長と体重すら全国平均とコンマの値まで揃っていたし、本当に平凡なTHE・高校生という感じ。

 


それでも人並みに「彼女」という概念に憧れはあった。昼休みにご飯を食べたりとか、下校は一緒に帰ってそのままどこかに遊びに行ったりとか、自転車の後ろに彼女を乗せて二人乗りするとか・・・煩悩に近いレベルで憧れのシチュエーションだらけである。しかし、平凡な自分には武器がない。なにか得意なことを身につけなければ、活路は見いだせないと思った。いろいろ考えて考えて、一つの答えが出た。皆が知っているコンテンツで且つイマイチ誰も手を出さないやつ。競技人口や母数はできるだけ少ない方がいい。ここで候補がいくつかでた。

 


まずはあやとり。でもこれは女子で時々見たことの無い大技を披露する子もいるし、のび太と被るので断念。何よりも休み時間であやとりを女子の前で披露する高校生、客観的に見てどうなんだろうと思った。

 


続いてマジック。 特にカードマジックはスタイリッシュだし、会話のネタにもなる。見事に決まればモテ無双してしまう可能性が大いにある。やってやるぜ〜〜!!という下心と共に早速練習してみると、手先が不器用すぎて仕掛けが仕込めない。何度やってもカードを当てることも出来ない。付け焼き刃でどうにかなるものほど、マジックは甘くなかった。マジック業界の方々、大変失礼しました。

 


そして最後に残ったのが、ルービックキューブ。直近のバラエティ番組か何かでタイムアタックのようなものを見ていたから、ふと頭をよぎったはず。「ルービックキューブ 揃え方」で検索すると、情報が山のように出てきた。調べればこんなにたくさん方法があるのに、周りでは誰もやっていない。テクニックの前に揃え方が確かにある。パターンさえ覚え切れば、何とかなりそうな気配があった。

 

macozy.com

(↑なんと当時、参考にしていたサイトがまだ残っていた・・・!)

 


とにかく攻略サイトの通りにやってみた。まず一面を揃え、そこから下段・中段を揃えたら、てっぺんにある面を十字に揃えるといった具合で、順番に色を整えていく。デスクトップを睨みながら、縦に横にキューブを回していき、だんだんとあの回し心地が癖になっていくこと1週間。なんと全面が揃った。まさか本当に揃うとは・・・。思わず家で声を上げてしまうほど素直に嬉しかった。「これなら・・・やれる!!!」という自信、そして絶対にチヤホヤされる確信しかなかった。

 


翌日からルービックキューブの猛練習が始まった。A4サイズに印刷した攻略サイトのページを四つ折りにしてポケットに入れて、もちろん授業中は先生の目を盗みながら回し、移動教室の時も廊下を歩きながら回したりして。隣のクラスの子や、同じ部活仲間にもだいぶ変な目で見られたけど、今までにないほど本気だったので全然気にしてなかった。むしろ「これを極めれば、いつかタイムアタックで一瞬で揃えて、チヤホヤされる・・・!!!」ということしか考えてなかった。

 


しかし、ハマるタイミングが最悪で、ちょうど月末に差し掛かる頃。それが意味するのは、毎月の月始めに行われるイベントが近いということ。席替えだ。こういう時に限って、天性の勝負師並みの強運を発揮してしまう。

 

自分の引いた席は、教卓の左前。最前列。

 

アリーナならプレミア確定。
AKBなら念願のセンターポジション。
泣いて喜ぶべきだったけど、ルービックキューブが出来ない。練習量を重ねたいのに。いや、そもそも授業中にルービックキューブをするなよって話なんですけどね。

 

 

チャンスの順番

チャンスの順番

 


それでも、諦めたくなかった。

 

なんとかギリギリ教師の視界に入るか入らないかの瀬戸際で、机の下をゴソゴソやりながらルービックキューブを回そうとしていた時。背中を何かで突かれる感覚が襲ってきた。変な汗がどっと出る。気配は常に察していたのに・・・いや後方の角度だと俺の手元は先生から見えていないはず・・・。そうだ、教科書を読み歩く速度的に先生が俺の後ろへいるはずがないッ!・・・つまり、まさか新たな教師か!?!?

 


とか色々考えながら本気で焦っていたので、恐る恐る後ろを振り返ってみる。

背中に当たっていたのはシャーペンの先っぽ。

後ろの席の女子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


まあ俺はのちにこの子のことが、めちゃくちゃ好きになるんですけど。

 

くううううううう~~~~~!!!!!!

 

 

もう10年前だよ!!!!!!

 

 

 

ぶっちゃけルービックキューブ自体の思い出などではない。そこに紐付いたこの女の子を思い出してしまうのである。


ちょっと見てみたいと言うので貸したら、途端に全部の面を崩し始めるし、俺にしか聞こえないレベルの声で「なんかおもろい事やって」と言ってきて断ると「は????」ってヤンキーみたいな詰め方してくるし、分からない問題を聞くと「こんなんも分からんの?」と侮蔑の目線を向けてくるし・・・ってここまで書いて気づいたけど、もしかして俺がドMなだけじゃない???あれ???????

 

クラスはもちろんのこと、学年の中でもかなり頭が良かった。黒髪ロングで前髪も揃えていて、肌も白くて線の細い子、という印象。なんか時々いませんか、男女問わず二次元からそのまま出てきたような人って。そういう子だったんですよ。見た目の例えが難しいんだけど、この10年間に渡る自分の情操教育に多大な影響を与えたビジュアルであったことはお伝えしておきたい。

 

いやでも、もしかしたら思い出補正がかかっていて、実は全然タイプじゃなかったかもしれない・・・。自分の理想とする美少女像を捏造していただけかも・・・。このテキストを書きながらそんな疑惑が胸をかすめたので、部屋の押し入れに入れてある高校の卒業アルバムを引っ張り出してきた。(これを書いている時刻は24時11分を回っている。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


くっっそ可愛かった。

 

ただの美少女だった。見るんじゃなかった。妄想であってほしかった。

見事に傷口へタバスコをぶちまけてしまった。

 

 

しかも周りから見たら性格はおとなしい感じで、笑う時は口に手を当てるような人だったから、「めっちゃ育ちのいい子なんだな」とか思っていたわけですよ。そしたら上にも書いたようにめっちゃ真逆の人で。

 

最初は「なんだこの子・・・」と思っていたんですけど、だんだん自分の話がウケ始めて相手が笑ってくれる回数も増え始めたんですよね。授業中なんて体はほぼ横を向いてたし、それでよく数学のおばちゃん先生に軽めに頭を叩かれてました。授業の合間の10分休みとかずっと喋りっぱなし。

 

何が好きって説明ができなかったんですけど、話すのがすごく楽しかった。やっぱりほら、好きな子の笑顔って、あかんじゃないですか。その度に自分が落ちていく感覚があって、ふとした時に「あ、俺この子が好きなんだわ・・・」と自覚したときには遅かったんだろうなと。

 

 

言い訳Maybe

言い訳Maybe

  • provided courtesy of iTunes

 

この時点でルービックキューブは完全に忘却の彼方だった。女子にモテたいという願望は、一人の女の子への好意に全て注がれたからだ。

 

部活の話をした時に、少し自嘲気味で「俺は球技も団体競技も全部あかんから、走るしかなかってんけどな」と言った時があった。これを聞いて俺がいじられるノリになればなと思ったんだけど、帰ってきた言葉が「でも学校の外とかさ、走るのめっちゃしんどいやん。ずっと我慢して走れるの凄いと思う。」だった。その場ではめっちゃ謙遜したけどその言葉が嬉しすぎて、確実にモチベーションになった。その年の持久走(2000m)で学年2位になれたのはこのおかげかも。

 


その子が他の男子と話す時ももちろんあったんですけど、すごく猫を被っていたから「うわ、全然ちゃうやん!!」と。それを本人に言うと「は???」って睨まれて、「あっごめんなさい」で終わりました。でもさ、もしかしたらさ、(この子がこんなに笑うのは俺と喋るときだけなんじゃね???)って思っちまうわけよ・・・。夢見ちゃうわけよ・・・。そんなわけがないと思いつつ、そんなわけがあると思いたいのよ・・・・・・。

 

 


その子には、好きまではいかないが気になっている人がいることを、同じクラスの女子から知る。そりゃそうよ、それぐらいいるよ。彼氏がいなくてちょっと安心した。その好きな人は部活をやっているらしい。どうせサッカー部かバスケ部だろ(偏見)あいつらイケメンしかおらんからな!!!

 


いや違った。

 

 

なんと陸上部らしい。

 

 

 


え?????

 

俺、陸上部なんだが?????????

 

 

 

いやいやいやいやいやいやいや。

 

落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け。

 

陸上部員は多くないが少なくもない。

同期にもそこそこいる。

 

危なかった。

 

もうちょっとで調子に乗るところだったぜ・・・。

 

 


同じクラスの女子A「でもなんか、このクラスって言ってたよね?」
同じクラスの女子B「そうそう、同じクラスやって〜」

 

 

FINAL MISSION~QUANTUM BURST

FINAL MISSION~QUANTUM BURST

  • provided courtesy of iTunes

 

 



これはもしかして、もしかするのか???

そうだった場合、どうする???

その事実を抱きながら、明日も普通に接することが出来るのか??

逆に意識しまくって、態度に出るんじゃないのか??

知らない方がいいんじゃないのか???

 

 

でも、知りたい。知りたかった。

もしかしたら、もしかするかもしれない。

その後のことは、その後の俺自身に任せることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


同じクラスの女子A「確か◯◯くんって言ってたわ〜」

 

 

https://abeno.keizai.biz/headline/543/

 

俺じゃないんか~~~い!!!!!

 

そう、クラスにいる陸上部は俺だけじゃない。5人もいる。

その◯◯くんは高身長180センチのイケメンだった。

白目むきながら倒れてやろうかと思った。

 

 


それでも意を決して、メアドを聞いた。メアドという言葉自体が今や死語だろう。いつものノリで断られると思ったけど、一つ返事で「いいよ」と言われた。赤外線の送受信でメアドを交換する時の、あの時間。その場だけ時間が止まったのかと思うほどにゆっくりで。メールもなんだかんだ続いて、件名に:REが溜まっていくのがどうしようもなく嬉しかった。

 


ある時、遊びに誘えそうな流れがあった。高校の近くにクソデカ商業施設が誕生していて、それの話になった。「今度遊びに行こうよ!」それこそメールで言えそうだったのに。だったのに、一歩引いてしまった。何となく流してしまった。一歩踏み出す勇気がなかったからだ。断られた後にちゃんともち直せる自信もなかったからだ。自分にとって運命の分かれ道は、そこだったかもしれない。

 


色々あって、自分は停学をくらってしまった。三日間の自宅謹慎。修学旅行中の不祥事が原因で、自分も含めた多数の男子生徒が対象となる。それがキッカケでこの一年間の男子と女子の全体的なギクシャクは解消されず、微妙に変な空気感のまま過ぎ去ってしまう。そして不運が重なり、自分の気持ちがあの子に回り回って伝わってしまった。あんなに喋っていたのに、顔すら合わさなくなったし、メールもするはずがない。とにかく気まずくて、心底いろいろ後悔した。

 


その子とは、その後の高校生活でも、卒業式でも喋っていない。地元の成人式にも参加していたのかも分からない。連絡先なんて知る由もなかったので、今どこで何をしているのかも知らない。残ったのは、ルービックキューブと高二の時の思い出だけである。

 


※※※※※※※

 

10年も経っているのに、どうしてここまで後悔しているのか。色んな理由があるけど、まず挙がるのは「中途半端になった」からだろう。自分の想いを曲がりなりにも伝えられなかった。結果はどうあれ気持ちを出し切っておけば、後腐れもなかっただろうし。燃えきれなかった情念が、今も俺の中で下火になっているのだろう。

 

 

それをこのタイミングで思い出したのも、何かの縁だ。少しでも消化させるために、ブログの記事として放出した。読めた代物ではないだろう。自分語りが過ぎてしまった・・・。読み返してて吐きそうになってきた・・・。これを教訓にした今年の抱負を最後に語って結びの言葉にしたいと思う。

 


2023年の抱負は・・・

 

「中途半端はしない!」です。

 


1月5日付で4年目に突入した当ブログですが、

本年もどうぞよろしくお願いいたします。