
ついこの間の話です。
5月末に開催されたハーフマラソンの大会に、彼女と一緒に参加した。
今回はその思い出と参加に至る半年間のことを振り返ってみたいと思う。
実は二年前にもハーフマラソンに出場した経験があって、その時は自分だけの出場で今回と同じ大会だった。21キロを走るなんて前人未到の領域すぎて何もかもが手探りだったけど、休日に練習を重ねつつ最後は気力と根性でなんとか完走することが出来た。その時の思い出はブログにも残している。走っている最中に足は吊りかけるし筋肉痛は一週間ほど続くし、とにかく大変だったけど、完走できた達成感は何物にも代えがたい貴重な経験だったなと感じている。
彼女とは付き合い始めて半年以上が経っている。今のところは順調に進んでいるはずだろうと自分では思っているのだけど、相手が実際はどう思っているのかは正直分からない。付き合った経緯は割愛して……と書こうとしたところで、スタート地点の話は既にブログに残していることを思い出した。
何もかもブログに書きすぎだろ!!!
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なぜハーフマラソンに再び挑戦する事になったのか。それは彼女が言った「ハーフマラソンやってみたい」の一言だった。マッチングアプリのプロフィールに自分がハーフマラソンを完走した時の写真を載せていた事も覚えてくれていて、いつかの機会にやってみたいと常々思っていたらしい。
とはいえ、マラソンに挑むまでの苦労と準備の大変さを経験者として知ってしまっていたので、挑戦する気持ちはあっても実現はなかなか難しいことを遠回しにそれとなく伝えていた。しかし彼女の決意は固かったので、まずは練習をしてみて挑戦できそうな見込みが立てば、申し込んでみようということになった。
そして1月から練習を開始。平日の仕事終わりに練習をするのは体力的な限界があるので、やはり休日に練習をすることになった。お互い基本は土日が休みのため、どちらかもしくは両方の曜日で会う予定を立てて練習をするため、県内のランニングスポットをリサーチして、場所や時間を変えながら周回コースを走っていく。最低でも週に一回は走っておきたいので、必然的に二人で会う日を練習に充てることになった。
社会人になってから休日のありがたさと過ごし方の重要性をたいへん良く理解するようになったけど、やっぱりその一つをマラソン練習に費やすことに対して、全く抵抗がなかったわけではない。走り終わった後に遊びに行くとしても限りがあるし、冬場や春先とはいえ走ると汗もかくので着替えを常備しなくてはならない。こういうことの積み重ねで関係性が悪化しないという保証はどこにもなかった。
とはいえ練習をし始めると、意外と楽しんでいる自分に気づいた。もともと走るのが好きではあるけど、それなら自分一人で走るのと変わりはない。その理由を考えると、やっぱり彼女のおかげなのだと思った。
自分と彼女は趣味が全く重ならないし、共通の話題をほとんど持ち合わせていない。例えば休日の過ごし方でいうと、彼女は友だちと様々な場所へ出かけるのがほとんど。京都へ行ったりアスレチックに行ったりドーナツ作りの体験に行ったり、いわゆるアウトドア派なのである。一方の自分は、映画館に行って近くでご飯を食べて感想を自分の中で反芻させて家に帰れば休日の過ごし方としては御の字だし、家の中にいて作品を見たりすることが多いインドア派だ。
それでなぜ付き合えたんだろうと考えた時に、彼女にあるたくさんの長所の一つとして人の話をよく聴いてくれるところがある。全然知らない分野のことにも興味を持ってくれて、逆に質問までしてくれる。自分も人の話は聞く側の立場にいることが多いのだけど、彼女の前ではよく喋っている気がする。20年以上続いている平成仮面ライダーシリーズがどんな変遷を辿ってきたかの自己見解を、タリーズコーヒーで20分くらい延々と聞き続けてくれたこともあった。そんな話を彼女にするんじゃない。ついつい楽しくて話し過ぎてしまうので、自分だけが話しすぎないように気をつけないと・・・。
ランニングの練習をしていても会話が途切れることはなくて、体力的にキツくなってもネガティブな事を決して言わないのは尊敬するところだった。時々ふざけて『爆転シュートベイブレード』のアニメOPを歌っていると歌詞中の「愛のアスリート」でツボらせてしまった時は本気で怒られそうになった。
最初はペースを落としながら距離を少しづつ伸ばしていき、彼女が今どのくらい体力があるのかを見極めていく練習になった。彼女自身も初めは3kmを走るのがやっとだったし、ペース配分の感覚が掴めず、最初に速度を上げて後半バテて速度が落ちるというジェットコースターのようなタイムグラフが生成されることも多かった。そして地道に練習を重ねていき、息切れすることがなく且つ走り切れるペースを見定めていく。平日に定時で仕事を終えられた日には、自宅近くで彼女は練習をしていたらしい。
そんな練習の中でも走りきったのは最高でも10km前後。しかも4月と5月は新年度が始まる関係でお互いに予定が合わない日も多く、個人で練習するしかない日も続いてしまった。残りの10kmを走り切れるかどうかは未知数だったが、ぶっつけ本番で乗り越えるしかないと思い、大会の一ヶ月前に正式にハーフマラソンにエントリーした。
ついに大会当日。この一週間は雨に見舞われる日が多かったが、当日はちょうどいい曇り空になり、ランニングには絶好のコンディションとなった。1kmごとに配置されたポイントでタイムを確認し、ペースを一定に保っていく。10kmまでは想定通りに走れていたが、そこを超えてくると下半身に疲労がたまり呼吸が乱れがちになる。なるべく気持ち早めにペースを上げてタイムを維持し、姿勢を正しくして息を吐くことを意識するように横でアドバイスを送ったりした。隣で走るトレーナーの気持ちを疑似体験したけど、当の本人もそれなりに余裕ではなかったので、それを悟らせないように意地を見せるので必死だった。
彼女氏とハーフマラソンにでました。
— かずひろ (@kazurex1215) 2025年5月31日
記録は2時間16分21秒で、一度も止まらず走り切れました。彼女氏は初めての参加で年明けから少しずつ休日に練習を重ねた結果の完走でした。ほんとに凄い。ペースメーカーの役目を果たすことが出来ました~。 pic.twitter.com/RVhexBi4xX
そして無事に完走。大きなアクシデントも起きず途中リタイアすることも無く、一緒に完走することが出来た。タイムは2時間16分と21秒。1キロを6分30秒で走り続けるペースになるのだけど、目標にしていた2時間30秒を切るタイムを残すことが出来たのは予想外の喜びだった。おかげさまで脚の筋肉痛が大変なことになり、少しの刺激でも痛くなるので、二人ともティラノサウルスみたいな歩き方になってしまった。
この話にオチは特にない。完走できて良かったなあというお気持ち表明である。これから先も彼女と付き合っていけるのであれば、二人でまた別のことに挑戦できると楽しいのかもしれない。彼女と一緒にいられるというだけで十分幸せなのである。今度こそフルマラソンに出場してみるか、それとも全く別のことをやってみるのか。それはこれから決めていくことにしたい。



