
(↑第20話の感想はこちら)
ここ数年のニチアサは新章突入のタイミングで大々的なプロモーションが展開される。強化フォームの先行公開や対峙する新たな敵勢力の載せられたポスタービジュアルが解禁され、今後の展開への期待をますます高めてくれる。玩具販促のスケジュール都合や児童誌からのネタバレ対策を兼ねているとのことだが、いかに「本放送でリアルタイムに視聴させるか」を意識した手法は、一企業の商業モデルとして尊敬するところである。
#仮面ライダーガヴ
— 仮面ライダーガヴ【東映公式】 (@GavvToei) 2025年5月18日
もうひとつのパワーアップビジュアルが公開ガヴ✨
マスターモードの真価はいかに!?
そしてヴラムも新たな姿がお披露目ガヴ🍮 pic.twitter.com/hDsY4cGZcS
今回の第21話はそうした『クウガ』における新章開幕のプロローグとなる立ち位置なので、上に記したプロモーションが当時展開されているとしたら、間違いなく今回のエピソードが放送された時に展開されるだろう。今後手にしていく新たな「金の力」をまとったクウガが並び立ち、まだ見ぬ上級階級「ゴ」種族のグロンギが佇んでおり、背景には黒いクウガが……と手に取るように想像できてしまう。
第20話でグロンギ達が話していたように”ゲゲル”に新たな動きがあるようで、第3号=ズ・ゴオマ・グ(演:藤王みつる)が再び長野県に現れたことが観測される。東京と長野を往復しているがその目的は不明。長野といえば県警の亀山巡査(演:西手勝秋) が久しぶりに登場したので懐かしい気持ちになった。彼の真似をする時の雄介(演:オダギリジョー)のちょけ具合に毎回笑ってしまう。
今回はグロンギ達の会話シーンが直近の中でも特に多いので、一見すると情報量が多いように思える。確かに何をやっていたり何を話しているのか、一度見るだけで正確に把握するのは難しいだろう。おそらく製作陣もそこに自覚的で、初見で全て分かるように元から作っていないと思われる。それに伝えなければならないセリフに関しては日本語を話す形でストーリーにも組み込まれているのだ。だからこそ雰囲気を感じとるだけで物語の進行に差支えがないようにバランスを保っている。
要はこの会話シーンで大事なのは、ゴオマが東京と長野を往復するのは何らかの理由があること、そしてグロンギ側の武器職人のような者が、次の何かに向けて動き出していること。目的がハッキリしていなくとも、その道筋が明確に定められていれば、作劇に支障は出ないと自分は感じている。
再開されたゲゲルを今回担っているのは、未確認生命体第31号=メ・ガルメ・レ(演:森雅晴)。公式発表としては第31号だが、出現した際の一条(演:葛山信吾)や杉田(演:松山鷹志)の反応を見ると、以前にも警察の前に現れたが取り逃してしまった経緯がある事が分かるように、ガルメは作中唯一ゲゲルに成功し昇格を果たしたグロンギなのだ。当時の児童誌でもガルメはゴオマやメビオと共に初期から紹介されているグロンギの一人で、その時は「ズ・ガルメ・レ」という名前だった。他のメ集団の怪人に比べると装飾品や衣服の着用も少ないがこのような理由があるからだ。
ガルメが他のグロンギと違って印象に強く残っているのは、日本語を巧みに操って警察を翻弄していたという点だろう。透明化能力というアドバンテージから次の犯行予告を日本語で残し、現場に居合わせた警察官を煽って一人一人始末していく姿は不気味だった。姿が見えないのだから対応のしようがなく、声だけが聞こえて死角から自分の命が狙われているとしたら、恐怖でしかないだろうなと。
#クウガ20周年配信 コンビニ前の二人の青年もオーディションで選ばれました。少ししか出番がないものの、きちんとした演技をする役者さんのキャスティングは難しかったりします。#kuuga#nitiasa#超配信#クウガ20周年
— 高寺成紀☺ (@taka_69s) 2020年11月21日
雄介の「あの時逃がした奴か!」というセリフに一瞬(そんなシーンあったっけ?……)と戸惑うかもしれないが、登場した未確認のナンバリングが不規則に付与されているのは、本編で描かれていない警察とグロンギの戦いがその間にあるからである。更にガルメの能力から推測するに最初に現れたのがペガサスフォームの力を会得する前だったのではないだろうか。あえてセリフだけでガルメの犯行を説明することで、本編外にも警察とクウガがグロンギと戦い続けている背景を深めることで、世界観に奥行きを持たせているのが上手いなと思う。説明不足と言われればそうなのだが、断片的にとどめておくことで後は視聴者の想像に委ねている点については、ある種の信頼感を伴った演出といえるのではないかと感じている。
現場に向かう雄介だったが、彼を見かけたゴオマに強襲されて第2話以来の直接交戦となる。意外にも(?)クウガ相手に善戦し、マイティフォームのパンチや肘打ちに怯むことなく、地面下に潜んで奇襲をかけてきたりもした。視聴者的には常に他のグロンギからも虐げられているゴオマの印象が強かったし、今さら戦った所ですぐに負けてしまうと考えていた所に不意打ちをくらった気持ちである。ここで気づいた方もいると思うのだが、21話の予告で描かれていたクウガがゴオマ・ガルメとの2対1で戦いを挑むシーンは全く出てこない。たしか制作上の都合で差し替えられたことが高寺プロデューサーから語られていた(はず)。
しかしここで新たな敵が現れる。クウガの攻撃をバイクで妨害し、赤いマフラーを靡かせるこの男は一体何者なのか。そして警察は未確認生命体第31号の凶行をどうやって阻止するのか。
それではまた次の更新で。
(↑第22話の感想はこちら)