感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 25「彷徨」

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(↑第24話の感想はこちら)

 

 

 

クウガ』の中で季節を感じるエピソードはいくつか挙げられるが、夏を実感するのは今回の第25話と第26話ではないだろうか。一人の小学生が人生に迷い、悩み、立ち止まった時にある青年と出会うひと夏の思い出。作中でも屈指の人気を誇っており、25年が経った今もファンの間で語られ続ける名エピソードとなっている。

 

栃木県にある風早小学校。神崎(演:井上高志)は今も教師として教壇に立っていた。教師という職に限界を感じていたが、当時教え子だった雄介(演:オダギリジョー)と交わした約束が果たされたことにより、再びその情熱を取り戻した。そのエピソードが描かれている第11話と第12話以来の登場となった神崎だが、その後日談ともいえる形で再登場するのは非常に嬉しい。ちなみに物語のディティールとして細かいのが、夏休み前最後のホームルームで「東京へ遊びに行くことは控える」ように注意が促されるところ。

 

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そんな神崎は一人の生徒を気にかけていた。それが教え子の霧島拓(演:木村貴登)である。成績も優秀で非の打ち所がないようにしか思えるが、夏休み前に書いた「未来」というテーマの作文に何かを書いて消した跡が残っていた。神崎も声をかけるのだけど、素直に悩みを言えるわけもなく。この時の不安が的中したというか、霧島くんはその日の塾を休み、最寄り駅から東京の浅草へ一人で向かってしまった。

 

小学生の時って隣の校区に自転車で向かうだけですごく緊張したし、ましてや一人でどこかに向かうことがほぼ許されない身分だったなと振り返ってそう思う。6年生にもなれば切符の買い方は知っていたけど、じゃあそれを一人で出来るのかどうかは別の話なので、この時の霧島くんの行動力はあらためて凄かったんだなと。上述の通り、物事の分別は弁えてそうな彼がなぜ危険を賭してまで東京に行きたかったのか。それは次回のエピソードで語っていきたい。

 

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ついにグロンギのゴ集団が動き始め、バラのタトゥーの女(演:七森美江)の元へ集い始める。ズ集団やメ集団に比べると人間体の姿から既に装いが異なることが分かってくるだろう。グロンギ独自の派手さはあるものの、人間により近づいた服装やメイクを施しており、階級が上にあるのは即ち人間社会にもより順応して勝ち上がってきたことが伺える。今後も登場するゴ集団の怪人だが、人間体の姿は社会に出ると確かに見た事がある存在感が凄いというか、本当に絶妙で。

 

そんなゴ集団で初めてゲゲルに挑むのは、フクロウの特性を兼ね備えたゴ・ブウロ・グ=未確認生命体第37号(演:高尾晃市)である。ギターを持ってNHKで流れている歌を歌いそうなシンガーソングライターの方かなと思うビジュアルなのだが、これを初見でグロンギだと見分けられるなんてのは無理じゃないだろうか。こういう人は間違いなく実生活にもいる。

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そしていつも本を携えて読んでいるのは、フランスの作家アルベール・カミュの著作「カミュ全集」である。カミュは著作を通して人間の存在意義や生きる意味を問い続けてきた作家としてよく知られており、作品内では不条理な状況に直面した人間がどう向き合い生きるべきなのかを提起している。

 

ブウロはなぜカミュ全集を読んでいたのかと想像すると、本来狩られるだけの獲物でしかないリントが不条理な状況=グロンギ側と対面することにどんな思想を抱くのかに興味を持ったのではないだろうか。ほとんどの人間は為す術なく死んでしまうため、何とも悪趣味な思想である。ゴ集団ともなると知能が高いため、殺人における哲学的な要素に思考を働かせていても不思議ではない。

 

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しかしそんなブウロは武器に吹矢を用いる。矢を放たれた相手は一瞬にして命を奪われ、その一時で数十人の犠牲者を出すほど。撃たれた相手はその不条理さを感じる間もなく死んでしまうのである。また、空を飛べて警察の追跡を難なく逃れることが出来るため足がつかない。

 

 

一条(演:葛山信吾)はこの事態を瞬時に判断し、雄介に緑のクウガ=ペガサスフォームで対応するように指示を送るんだけど、それに応えた雄介がトライチェイサーに乗りながら青のクウガ=ドラゴンフォームに変身し、高層ビルの屋上までひとっ飛び。この連携の素早さが気持ちよくてパズルがハマったような爽快感すら感じられるし、あらためて基本4形態があればどうとでも対処できるのは凄いなあと。

 

しかしビルの屋上で一条から拳銃を受け取る際にブウロの襲撃を受けてしまう。矢の連射でヘリも容易に近づけず、拳銃を受け取ったクウガもペガサスフォームへなかなか超変身することが出来ない。この時にブウロの姿が肉眼で察知できないのがなかなかに厄介。そして隙をついてペガサスフォームへ変身すると、アークルから電気が発生し徐々に全身を覆い、ここで金の力を得たライジングペガサスへと姿を変える。ついに反撃開始かと思われた刹那、ブウロの矢がクウガの左腕を容赦なく貫く。

 

 

 

クウガはどうなってしまうのか。

そして霧島くんは一人何を思うのだろうか。

 

それでは、次の更新で。

 

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(↑第26話の感想はこちら。)