
(↑第29話の感想はこちら。)
クウガに宿された新たな力”ライジング”は紫・緑・青の各フォームにそれぞれ発現し、強敵ばかりが集結するゴ集団のグロンギを相手に熾烈な戦いを繰り広げてきた。そして最後に残るのは赤の金の力、ライジングマイティである。
しかし金の力について古代の碑文には何も記されておらず、現代に起きた突然変異つまりギノガ戦で倒れた雄介(演:オダギリジョー)に椿(演:大塚よしたか)が施した電気ショックが原因となっていたことが判明する。本来ならば仮死状態だった雄介に何もせずともアマダムの力で甦るはずだったが、そこに救急措置として与えられた電気ショックがアマダムを通してベルトに変化を与えたのだという。
放送を見ていた当時、基本形態の登場とは真逆の順に金の力を得ていくことにとても期待を寄せていたことを思い出す。「仮面ライダー」の代名詞ともいえるライダーキックの技を持つマイティフォームが金の力を得たらどうなるのか、期待が膨らんで仕方がなかった。また電気ショックでベルトが強化したという論理的な根拠の示し方も「な、なるほどーーー!!!」と子どもながらに感動していて、全ての事象に理由が付加されるというのはあらためて尋常ではないな、と。
未確認生命体が以前にも増して強くなり犯行手口もより凶悪になってきたことを鑑みて、警察はトライチェイサーに続く新型バイクを開発と強化ライフルの開発を急いでいた。そんな現状を話しているのは科捜研の榎田(演:水島かおり)と松倉本部長(演:石山雄大)である。この何気ない会話を聞いているとちょっと驚きなのは、既に松倉にはクウガの正体が五代雄介という青年であることが周知されていることだ。
本編の描かれていないところでその事実を把握したのだろうけど、それが割愛されているところが逆にとても良かったなあと。松倉本部長を通して描くドラマに「クウガは何者か」は重要ではなく、むしろ警察組織としてゴ集団にどう対処すべきかを描く方が上層部の認識を視覚化する意味で重きが置かれたのかなと。それにクウガの正体が人間だったことに驚く描写を挟まず、それを知ってなお第4号の捕獲に乗り出したり監視下に置こうとせず、現状の協力体制が最適だと判断している(だろう)のは、松倉本部長の格が言わずとも伝わる描写なのではないだろうか。
自暴自棄になり未確認生命体の仲間になろうとしていた蝶野(演:内田大介)が第14話以来に久しぶりの登場。サブキャラのその後をちゃんとフォローする作劇が描かれるのが『クウガ』らしい点である。人生を諦めていた彼がイラストを描くことに希望を見出し、コンテストに応募しようと奮起するにまで至ったのは、彼なりの成長が伺えるのだけど、そうすぐに上手くいくわけもなく……。この顛末は次回の第30話で触れることにしたい。
今回ゲゲルを行うグロンギはゴ・ガメゴ・レ(演:酒井一圭)=未確認生命体第39号。その名が示すように亀の特徴である強固な外皮で高い防御力を誇り、クウガを軽々と投げ飛ばす怪力を持ち合わせている。そして両手の各指につけた指輪を鉄球へと変化させて、まるで陸上競技のハンマー投げのように投げつけることで標的の命を奪う。
ガメゴを演じた酒井一圭といえば、翌年に放送された「百獣戦隊ガオレンジャー」のガオブラック/牛込草太郎役を演じており、後年では銭湯アイドル「純烈」のリーダーとしてバラエティ番組などでも幅広く活躍している。
ガメゴの設けたゲゲルの法則は、ルーレットで決められた地点に鉄球を投げ込み標的の命を奪うというもの。他のグロンギとは違い人数を決めているわけではなく、運任せのように無作為に投げ込むことで逃げ切った者も肯定する、ギャンブラーの素養があるガメゴらしい方法である。放送当時から思っていたのだけど、高い所から鉄球をぶん投げて人間の命を奪うこのやり方がまじで怖かったなと思っていて、普通に歩いていたら頭上から突然でかい鉄球が降ってくるなんて想像したくもなさすぎる……。学生時代に陸上をやっていたこともあり、鉄球に近い砲丸を触ったことがもちろんあるのだが、当たり前に超重い。ハンマー投げに使われる鉄球の重さを調べてみると、約7.3kgもあるらしい。これが上空から降ってくるとどうなるか、想像に難くない。
今回のような相手にクウガはどう対峙したのかを振り返った時に、雄介が戦ってきた経験値がかなり発揮されているなと感じる。高層ビルの屋上にいるガメゴの元へ向かうためにドラゴンフォームに変身し、近づいたら基本形態のマイティフォームで格闘し相手の様子を伺う。最初に対決した時点ではガメゴの怪力や防御力は分からないので、赤のクウガでまず戦うのはセオリー通りなのである。
そして高層ビルから落下し地面が陥没するほどの衝撃を受けたにも関わらず、ガメゴは全くの無傷。鉄球を投げつけて攻撃してくるため、青のクウガで距離を取り続けるも、隙が生まれない。ここで初めて高い防御力+破壊力のある鉄球を攻略するには、紫のクウガ=タイタンフォームで攻撃に耐えながら攻めるしかない、という結論になるのである。この算段が流れるようにサラッと演出されることにグッときてしまうのである。
紫のクウガはガメゴの強靭な防御力を突破できるのだろうか。
そして蝶野の運命はいかに。
それでは、次の更新で。
(↑第30話の感想はこちら。)