感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 33「連携」

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(↑第32話の感想はこちら)

 

 

 

未確認生命体第41号=ゴ・バダー・バ(演:小川信行)との激しいバイクチェイスは熾烈を極め、クウガは戦闘のさなかトライチェイサーをバダーに奪われてしまう。地に足つけた所にとどめを刺されそうになった時、エンストを起こしトライチェイサーは機能を停止。バダーは最後の獲物をクウガだと宣言し、ゲゲルを再開させるために再び走り去ってしまった。

 

今回のクウガとバダーの戦いは、完全なるクウガの敗北だった。もしバダーが「クウガを最後に倒す」事を選ばなかったら、おそらく雄介(演:オダギリジョー)の命は尽きていた可能性がある。この勝利宣言が実にバダーらしいというかプライドの高さが伺えるなあと感じる。クウガ自身は無傷だがバイクは使えないので、バギブソンに追いつくことは不可能。それはつまりバダーがゲゲルを続行する限り絶対に止めることが出来ないことを意味する。後々ゴウラムに掴まりペガサスフォームの力で狙撃する作戦も実施されるが、簡単に避けられてしまうためこれも失敗。つまり全く為す術がなく逃がしてしまうのは今回が初めてのケースだろう。

 

引用:https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/1399

 

白い煙を上げながら横たわるトライチェイサーが凄くショックだったし、横で呆然としながら駆け寄る雄介にどこか悲しそうな雰囲気を感じたのが印象的だった。番組当初から毎話必ずといっていいほど登場し、現場へ駆けつけるための移動手段としてクウガのアイコンのような存在感があっただけに、物理的に破壊されてしまうのはやはりショックだった。

 

仮面ライダーとバイクの関係性は1号の頃から続く伝統の一つであり、平和を守るため孤独に戦い続ける戦士に寄り添うたったひとりの”相棒”という文脈が寄り添っていたように思う。前作「BLACK RX」で”相棒”の要素により焦点が当てられバイクが喋ったり意思疎通を図る存在になっていたが、流石に『クウガ』でそれをやると世界観にそぐわない。しかし警官の一条(演:葛山信吾)との信頼の証としてクウガに与えられたことにより、”相棒”という文脈の意味合いがより深くなったのは、良いアップデートだったなと感じる。

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ついに第4号=雄介と邂逅を果たした杉田(演:松山鷹志)とどんな会話をするのか、『クウガ』において見たかった絵の一つである。ゴウラムに掴まって空から攻撃する方法を雄介が杉田さんへ真面目に説明するのだけど、杉田さんの(分かるようで分からんが必死に説明しているし聞いてやるか……いやでも分からん)の表情が絶妙で。制作時にこのくだりは省略される可能性もあったらしいのだけど、ここはカットしなくて正解だったと思う。この二人が初めて会話するのであれば、やはり第3話と第4話について言及してほしいところにもちゃんとセリフを散りばめてくれるのは作品として信頼できる。不可抗力とはいえ、一度は銃口を向けたことを謝罪する杉田とそれも全て分かった上で全く気にしない雄介。こういうのが良いんだよね。

 

 

 

しかしトライチェイサーが破壊されても、現在進行形でバダーのゲゲルは続行されているのが怖いところで、着実に犠牲者の数を重ねているのがプレイヤーとしていかに優秀なのかを物語っている。それでも誰も諦めずに、雄介や警察は別の方法を常に模索しているのが本当に格好良い。松倉本部長(演:石山雄大は上層部にBTCSを第4号へ引き渡すことを再度説得し、科警研は榎田(演:水島ひかり)が水際で時間を稼ぎながら一条の到着を待つ。そして現場ではバダーの進行ルートへの囲い込みを警察署員が命懸けで続ける。

 

現場で何が起きていて今最も必要なことは何なのかを説く松倉本部長の演説は、今見返してみても真っ当にグッとくるシーンで、その演説に心を動かされる上層部までの流れも含めて非常に寓話的だなと感じる。ある意味現代においてこのシーンを描くのであれば、尚更に綺麗事がすぎると思ってしまうというか、そう目に映るほど現実はとても複雑になってきている。実際このような危機に直面しても同じ事ができるのか、おそらく出来ない可能性のほうが高いだろう。それでも『クウガ』で人間が描かれるときは、その善性が徹底的に描かれていて、そこに制作陣の”願い”を感じるような時がある。どれだけ実現するのが難しい出来事に直面しても、大人は、人間は、皆で一つになって協力すればどんなことも叶えられる。それを『クウガ』という作品を通して、当時の子供達に真正面から伝えたかったのかなと。

 

 

 

 

こうして満を持して現着するビートチェイサー2000(通称:BTCSー2000)。特殊白バイ「トライチェイサー2000」をベースにしつつ、ゴウラムとの融合で発生する金属疲労に耐えうる特殊合金を兼ね備え、最高速度は420kmで走ることが出来るクウガ専用の特殊バイクである。トライチェイサーは雄介を信頼した一条の証として渡されたのに対し、今回のビートチェイサーは一条という個人を超えて警察の組織そのものがクウガとの協力体制を敷くことを決めた証明であり、これまでのエピソードと第32話そして第33話の帰結としてこれほどにアツくなる展開があるだろうか。

 

引用:https://www.kamen-rider-official.com/zukan/items/1055

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(↑クウガに変身する雄介を見た杉田のあの反応について熱く語られている記事をご紹介します。読みながら何度も何度も頷かされるし、「仮面」を被って戦うことの意義を再認識させられる記事です。)



ビートチェイサーの格が違うことを示す箇所は、やはりその機動性とスピードである。バダーの乗るバギブソンと並び立って攻撃を受けても華麗にかわし、まるでその攻撃を寄せ付けない。そして最後にトップスピードで走り抜けて、速さでは敵わないことを圧倒的に証明する。バイクを駆るバダーにとって最も屈辱的な敗け方であり、仮面ライダーとして申し分のない勝ち筋である。そしてクウガと警察が一つになって、全ての算段が整って放たれるライジングマイティキックは、ここでやっと初めて”ヒーローの技”になったのだ。

 

 

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それでは、次の更新で。