
2009年に公開された「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」で鮮烈なデビューを飾ったウルトラマンゼロは、その翌年に彼の新たなる冒険を描いた作品が公開された。
それが……『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』だ。
このたびお声がけを頂き、ブロガーの友人そして先輩方とのブログ横断企画「リレー・リレーション」に参加させていただきました。今回は「ウルトラマンゼロ」をテーマにブログを繋ぐ=リレーするのだけど、そこで大好きな『ベリ銀』の魅力を存分に語る機会を頂いた。

前回、第2回を担当された結騎 了さんが執筆された「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」の感想は、もう共感に次ぐ共感でしかなく、巨大特撮が迎えた冬の時代に颯爽と現れたウルトラマンゼロという新星と坂本浩一の手腕に度肝を抜かれた当時の空気感を、まるで昨日のことのように思い出すことが出来た。
「ウルトラ銀河伝説」は、あまりにも偉大な作品だった。巨大特撮のイメージを打ち破るスピーディなアクションが展開され、そのアクションの中でもドラマを進める作劇の絶妙なバランス、そして”ウルトラセブンの息子”という鮮烈な新キャラの登場。坂本浩一が起こした革命は、冬の時代を過ごしたシリーズにおける一筋の光、と冗談抜きで言えてしまう存在だった。
だからこそ、それに次ぐ作品というのは、期待値が否が応でも上がってしまうし、その中に様々なハードルを抱えていたのは確かだったので、当時の心中としては(大丈夫だろうか……いやまじで本当に大丈夫だろうか……)という心配しかなかったことを、とてもよく覚えている。
そんな状況で迎えた『ベリアル銀河帝国』という作品の、何が自分に刺さったのかと考えた時に、真っ先に思いついたことがある。それはこの作品の”志”(こころざし)だ。
『ベリアル銀河帝国』は、鮮烈なデビューを飾ったウルトラマンゼロを主役にし、彼を知る者が全くいない別次元の宇宙で旅をさせるというものだった。まさに文字通り”ゼロから始める”物語の舞台設定は、全編が惑星間を股にかけた冒険になるため、もし映像のクオリティが低くなると、間違いなく没入感は削がれてしまう。さらに新キャラクターも複数登場させなければ、せっかくの世界観に奥行きも出てきづらい。前作で多用されたグリーンバックの撮影がハマったとはいえ、アプローチの方向性が変わる難しさがそこにはあったに違いない。
当時の円谷プロがどんな立場におかれていたかを考えた時に、それでもウルトラマンでスペースオペラをやる、言ってしまえば「スター・ウォーズ」をやることが、いかに大胆かつ勇気のある決断だったか……。ここで縮小再生産の道を選ばずに、より挑戦的な作品づくりに挑んだことに思いを馳せると、感慨深い気持ちになる。
そんなスペースオペラを描く上で必要不可欠なこと、それは映像面をどれだけ作り込めるかにかかっているのだが、まずそこにとても感動した。さまざまな惑星の描き分けがとても創意工夫に溢れていたり、グリーンバックを用いたVFXの合成や、宇宙空間に浮かぶ艦隊群や星を駆けるジャンバードのCGなど、そのどれもが決して見劣りしない質感だったと感じている。
なかでも衝撃を受けたのが、ゼロが別次元の宇宙へ旅に出る時に向かった多次元宇宙(マルチバース)が見事に視覚化されている事だった。一つの塊を持つ宇宙が枝に分かれ、またその先で別の宇宙が広がっていく様は本当に神秘的だったなあ、と。この概念は後年続くシリーズでもたびたび登場するので、その土台を整えたのはやはり偉大だったと思う。
そしてゼロが新たに出会う仲間として登場するのが、円谷プロの過去作からオマージュされたグレンファイヤー(CV.関智一)、ミラーナイト(CV.緑川光)、ジャンボット(CV.神谷浩史)の三人。変身者がいてもいなくてもキャラクターにその人格を与える演出は、先駆けたゼロも含めて初見時に「おお!!!」と、思わず膝を打ったのを今でも覚えている。ちなみに自分はこの中だとミラーナイトがとても好きで、鏡の反射を利用した攻守の使い分けに「技ッッ!!!」を感じたからだ。
ウルトラマンは変身者とペアで一つのキャラだと強く認識している部分もあったのだけど、単体でキャラ化させる事により、ヒーローショーの延長のような親しみを覚えやすくなったんじゃないかなと。この体系はニュージェネシリーズで長く受け継がれ、有名声優も多数起用されたおかげでアニメ界隈からのファン層獲得に繋がったのは、偉大な功績だと思う。
しかしそういった映像面の演出やキャラクターの造形に面白みがあっても、この映画における本懐とはもっと大きなところにあると思っていて。
この作品の”志(こころざし)、それはつまりウルトラマンゼロにシリーズの未来を託すという覚悟だ。
ウルトラマンゼロというキャラクターがはっきりと輪郭をもったのは、紛れもなく今作からだった。少しオラついているが面倒見が良く、どんな逆境にも諦めない頼れる兄貴分、そしてめちゃくちゃ強いので向かうところ敵なしという存在は、後続のシリーズでも幾度となく描かれてきた。ぶっちゃけこのキャラクター性で人気にならないわけもなく、意地悪な言い方をすれば売れて当たり前の造形ともいえる。
しかしその造形にあざとさを感じさせないのは、この物語で築き上げた冒険譚で、ウルトラマンゼロというキャラクターを私たちが愛せるようになったからだ。言葉でダメなら拳で語り魂をぶつけ、闇へ堕ちた者には真っ直ぐな光を照らすことが出来る。この正反対に思える両面を兼ね備えているのが絶妙だなと思っていて、この辺りのバランス感覚は演じる宮野真守の賜物でもあるし、歴代のウルトラヒーローにいそうでいなかったキャラクターだったなと。
この映画で特に大好きな、ひいてはシリーズでも指折りにグッときたシーンがある。それはゼロがたった一度しか残されていない変身を果たした時だ。宿敵ベリアルに囚われて為す術もなくし諦めかけた時に、ランやエメラナが最後まで諦めずに戦っていること、ゼロを信じて希望を捨てずにいることを知り、その仲間達の姿に心を打たれて涙を流す。
ゼロが自我をもった状態で涙を流したのは、確かシリーズを通してもこの時だけだったはず。自身の不甲斐なさや未熟さに悔しさを滲ませることはあっても、絶対に涙なんて流さないであろう彼が、たくさんの仲間達に支えられていたことに気づかされ、思わず泣いてしまうなんて、もうそんなの当たり前に好きになるに決まってるじゃねえかってことなんですよね。そうして生まれた絆で得た新たな力が、同じく絆を紡いだ光の戦士に由来しているところも、グッときた箇所である。
今年ウルトラマンはシリーズ生誕60周年という節目を迎える。そのアニバーサリーを記念した新作映画において主役を担うことになったのが、ウルトラマンゼロである。巨大特撮が途絶えた冬の時代を救うべく現れたヒーローが、今度はそのシリーズの看板を背負う大役を任されることになるとは、あまりにもオタクとして非常に感慨深い気持ちでいっぱいだ。
まだ観たことがない方には、ぜひ今作『ベリアル銀河帝国』を観てもらいたい。ここには、なぜウルトラマンゼロが愛されているのか、彼がシリーズに与えた功績は何だったのか、その全てが詰まっていると感じている。そして込められた”志”を受け取り、来たる60周年記念映画に向けて心待ちにする日々を、一緒に迎えることができたら嬉しいかぎりだ。
(↑次にリレーを繋いでくれる第4回はこちら!)

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