
大学時代の同期と立ち寄った二次会の店舗で、ある曲のMVが流れていた。それは既に酔いがかなり回っていた自分にも認識できるほど衝撃的で、思わず目が釘付けになってしまった。そして曲名を調べ、歌っている女性アイドルグループの存在を知り、この楽曲の良さをなんとか文に残したくて、書き連ねている。
『愛くださいませ』
女性アイドルグループ ≠ME(ノットイコールミー)による12枚目のシングル曲である。元AKB48だった指原莉乃がプロデュースしている= LOVE(イコールラブ)の姉妹グループとして、2019年にデビュー。今年で活動7年目を迎えたらしい。
なんといっても初めて聴いた時に「めちゃくちゃ格好良い……」と衝撃を受けた。ショパンの「幻想即興曲」からサンプリングされた前奏がアクセントになり、強いメロディラインから開幕。さらにBメロからギターが加わる事で、より音に厚みが増し、メンバー達の力強い歌声で魅せるサビに圧倒される。
そしてMVをあらためて振り返ってみる。まさに”豪華絢爛”という言葉がぴったりな映像になっていて、きらびやかな大聖堂を舞台にスカーレットを基調としたドール風の衣装をまとったメンバー達が、手数の多いフォーメーションで激しく切り替わるダンスを披露する。こちらのドール風衣装もまたこの曲にとても似合っていて、全員の色が統一されつつ、メンバー毎に施されたアレンジがとても絶妙。双子コーデになった子達は、美しさの中に「シャイニング」の双子を思い出す不穏さを思い出すなあと。

思わず「おお!!」となったのが、ドローンを使用したカメラワークで、360度の映像が採用されているところ。普通のカメラなら出来ない、空中から真後ろに回り込んで正面を映すといったキラーショットが撮れていたり、躍動感とダンスのキレがより伝わってくる。特に二番のサビではワンカット長回しで披露するパートがあり、それがあまりにも自分には刺さってしまって……。その時にセンターで踊っていた方は、目のハイライトを自在に消せるらしい。
そして華やかなダンスパートと対照的に、学生に扮したメンバーたちの日常パートも並行して描かれ、これらが双方に織り交ぜられながら展開されていく。ガラケーやルーズソックスなどの、懐かしいあの頃を再現したシーンなのだけど、なぜダンスパートと対極にあるようなエモさを感じるコンセプトにしたのか、少し気になっていた。あまりにもかけ離れている気がしたからだ。
しかし、実はちゃんとこれにも意味があった。対極にある2つのパートはこの曲の世界観を支える、とても大切な役割を果たしていたのだと判明したのは、公式サイトにある楽曲紹介のページにある一文から。

“恋をしたがゆえに翼を失い地上に堕ちた天使を演じている。彼女たちはどうしても忘れられない天界での暮らしを再現するべく、ドールハウスと7体の人形を作り、自らを慰めるために人形劇の世界にその身を投じる。”
中心にいる4人のメンバーは翼を失った堕天使。
その他に踊っているメンバーは思い出を投影したただの人形。
そして彼女たちの日常パートは、悲しみを癒すために造られた偽りの世界。
よーーーく見てみると、冒頭に映されたガラケーの待ち受けには「1999年7月32日」と書かれていて……。
おいおいおいおいおい
そういうの大好きに決まってるだろ・・・・・・
日常パートがあの頃の思い出でした。
なんてヌルいものじゃなく、全部作り物でしたはパンチが強すぎません?????
天使には仲のいい友達もいて、特別な感情を抱いた人もいた。でも人間には寿命があり、天使と共に生きる事は出来ない。その悲しみを埋める為に自らを思い出に閉じ込めて生きる堕天使の、無常の儚さが込められていると分かった上で、曲を聴いてみると、歌詞のフレーズ一つ一つが深く突き刺さってくる。ご存じの方には今更過ぎるんだけど、歌詞は指原莉乃が務めている。詩的な言葉選びと世界観の表現に至る奥深さが凄すぎて、聴く側の解釈にあらゆる余地を与えてくれている。もうこれからさっしーだなんて呼びません、指原プロデューサーと呼ばせてください。
そんな≠MEの『愛くださいませ』は各種サブスクに配信中。
あなたもぜひ、聴いてくださいませ。
