本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

好きなものをどんどん語ります

Base Ball Bear『初恋』の彩ってくれた「青春」はこれからも胸に輝き続けていく

 

 

Base Ball Bear(以下:ベボベ)というバンドがいる。ボーカル&ギターの小出祐介、ベース&コーラスの関根史織、ドラムの堀之内大介の3人からなる、昨年で結成20周年を迎えた日本を代表するロックバンドである。数々のロックフェスの常連であり、アニメや映画の主題歌として起用されるのも数知れず、その楽曲を誰もが一度は耳にしたことがあるんじゃないかな、と。

 

 

↑左:小出祐介(Vo.Gt)、右:関根史織(Ba.Cho)、中央:堀之内大介(Dr)

 

ドラマチック

ドラマチック

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(↑アニメ「おおきく振りかぶって」のOP)

 

Stairway Generation

Stairway Generation

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(↑アニメ「銀魂」のOP)

 

 

 

そんな自分も彼らの手掛けた楽曲を愛する一人である。知らない曲も多いので、自ら大きな声で「ファンです!!」と名乗ることには気が退けてしまうのだけど、歴代アルバムであれば全て聴いている。生きているうちに一度はそのライブに馳せ参じたいなと本気で思っているくらいには、彼らの音楽が大好きである。

 

 

ベボベの楽曲が持つ特徴として感じるのは、その「心地よさ」である。

若者の青春や学生の夏をイメージした曲は言わずもがなで、ボーカルを務める小出さんの高すぎず低すぎない歌声は耳に自然と馴染んでいくし、そこに華を添える関根さんのコーラスがこれもまた絶妙。テンポが早い曲であっても主張の強すぎない演奏が、却って個性的になるというか、いつまでも聴いていたくさせる不思議な魅力を感じるのである。手掛ける楽曲の中には、コード進行が独特なクセの強いものもあるが、この「心地よさ」という点では変わりはない。

 

 

 


そんなベボベの楽曲の中でも、自分が特に一番大好きな楽曲がある。


『初恋』という曲である。

 

 

初恋

初恋

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2012年7月11日にリリースされた2ndミニアルバム「初恋」に収録されており、アニメ映画「図書館戦争 革命のつばさ」の主題歌にもなった。原作の大ファンである小出さんが直談判して手掛けることになったらしいのだが、制作はかなり難航したらしく、当時の予告編を見るとサビ前の歌詞が違っていたりする(出来に納得がいかず、その後変更されたらしい)。

 

 


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この曲の再生時間は5分48秒もあり、アップテンポにも関わらず実は結構長い。ただ聴いているとその長さは感じさせないどころか、むしろその長さこそが魅力なのは言うまでもないのである。イントロは助走をつけるが如く、ドラムのリズムがゆっくりゆっくりと音を重ねていく。ギターのメロディも合わせて徐々に勢いが乗ってきたところで、疾走感溢れる前奏が始まる。そしてギター・ドラム・ベースの演奏が三位一体になって盛り上がるのが、最高of最高。

 

 

 

この歌はタイトルの通り、恋い焦がれている子の元へ今まさに向かっている主人公の気持ちが歌われており、その人に出逢ったことで自分の全てが変わってしまい、季節も景色も時間も、その人無しでは考えられないというストレートで真っ直ぐな想いが綴られている。

 

今君に恋した 僕が見てる世界は

今日も 君色二万色で

夏祭りのような 切なさじゃない 

明日の君に憧れ続けているから

↑サビの部分でちょっと気恥ずかしくなる歌詞なんだけど、刹那的ではなくこの先もずっと好きでいたい純粋で無垢な想いに溢れていて、とても好きなフレーズ。

 

 

そして、もう一つ好きなところがある。

それは『初恋』における「初恋」が、別の意味を示しているということだ。

 

「初恋」とは一般的に「誰かを好きになる」という気持ちの気づきであったり、幼少の頃に抱いた憧れから始まることが多い。世の中に溢れている初恋が実ることはほとんどないし、成長していくための経験として過ぎ去っていくだろう。だとすれば、それは「恋」ではない。自分にとって本当の愛に出逢った時にこそ、それが「初恋」になる。

 

 

ラストのサビで、こんな歌詞が綴られている。

何回も恋した 同じくらいのさよならもしただけど僕は いま君が好きだ
初めてじゃないこの恋を
終わらない最初の恋にしよう
最後の恋にしよう

↑「初めてじゃないこの恋を 終わらない最初の恋にしよう」めちゃくちゃドラマチックなんですよね。

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※

 

この曲を聴くと思い出すのは、10年前。


ちょうど高校三年生だった頃。家から自転車で片道30分ほどの距離にある高校へ通っていた自分にとって、通学時のiPodは必須アイテムだった。夏休みが過ぎて二学期が始まった頃、特にこの時期は大学受験が控えていたので、居残りで受験勉強をしていた。学校を出るのは日が落ちかけた夕暮れ時。地域の近い友人があまり居なかったことから、帰りはもっぱら一人になることがほとんどだった。そこで必ず最初に流すのが『初恋』だった。

 


茜色に染まった空の下で、マンションや一戸建てが立ち並ぶ住宅街を走り抜けていく。秋口が近づく時に感じる風の匂い、徐々に灯り始める街灯。この曲を聴くと、その当時の帰り道の情景が今でも自然と浮かんでくる。音楽に紐付けられた記憶は、いつまでも記憶の中で鮮明に残っているらしい。

 

 

どうして『初恋』を必ず聴くルーティンになったのか、自分でもハッキリと覚えていない。きっかけは単に好みの曲だった事が大きいけど、高校三年生のタイミングでこの曲に出会えたことが、一番の理由なのかもしれない。

 


自分の高校生活は振り返ってみても、決して華やかと言えるものではなかった。部活もやっていたが何か成績を残せたわけでもなく、勉強も中の中ぐらい。もう少し学生らしい思い出を作っていれば良かったなあと今でも思う。思い出すことといえば頭を抱えるような失敗や恥ずかしいことばかりで、全校集会でAKB総選挙のマネをして鬼スベったり、好きな子に人生初の告白をするもフラれて絶交になったり、修学旅行中のアクシデントで停学処分をくらったり、まあまあやらかしている(ほぼほぼ自分のせい……。)。結局この年の大学受験はすべて不合格になり浪人生となったので、やはり苦い思い出を呼び起こせざるを得ない。

 

kazurex1215.hatenablog.jp

(↑浪人生時代の思い出を記事にして残しているのはこちら)

 


しかし、この『初恋』を聴いていると、そんな自分の一度きりの「青春」を肯定してくれるような気持ちにさせてくれる。ラストのサビが終わってアウトロが始まるとき、最後のギター演奏が始まる。壮大でどこまでも伸びていく音色が、帰り道の情景を今でもハッキリと思い出せるように、「そりゃ色々あったけど、楽しいこともあったよなあ」と自分なりの三年間にフィナーレを飾ってくれているような気がした。高校時代に出来た友人は今でも付き合いがあるし、浪人生の経験があるから今の自分があると思えるようになった。

 

 

 

正直こうした「青春」を連想させるのであれば、ベボベにはふさわしい曲が他にたくさんある。「17歳」「short hair」辺りが妥当なのかもしれないが、自分にとってはやっぱり『初恋』なのである。音楽を通してそっと寄り添ってくれる優しさが、ベボベの魅力の一つであり、彼らの音楽が持つ「心地よさ」は、これからも自分の記憶にある「青春」を彩ってくれるだろう。と、そんなことを、最近登録し始めたサブスクのApple Musicを聴いていて、ふと思い出したのであった。

 

 

 


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