本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

好きなものをどんどん語ります

総距離21.07キロ。人生初のハーフマラソンに参加してきた。

 

 

 

 

 

今年に入ってから趣味の一つとして、ランニングを始めた。


適度な運動を行えば精神面が前向きになりやすいらしいのと、着実に近づく20代の終わりに備えた健康面の一念発起だった。自分の理想としては、毎日運動を行って習慣化したいところだったが、仕事と生活のバランスを考えて、まずは休日に週一回で続けてみることにした。昔話になるのだけれど、学生時代の6年間は部活を陸上に捧げており、なかでも高校では中・長距離走をやっていたので、走る行為そのものに抵抗感が無かったのは幸いだったのかもしれない。

 

とりあえず走り始めてみると、現在の自分がまともに走れる距離やキープできるタイムが見えてくる。現役時代の肌感覚で走ってみると体力の落ちっぷりに痛い目を見たし、ペース配分の掴み方に戸惑ったりもしたが、端から端を一往復すれば約4キロになる近所の公園をコースに設定。これをベースにランニングを行うことにした。

 

 


春先に花粉症がひどくなったせいで走るどころではなくなり、一時休止の期間もあったが、概ね週に一回のランニングは続けることが出来ていた。時間帯に制限は設けずに、朝に走ったり午後に走ったりしたが、体を動かし汗を掻くことが好きだという自分への気づきを得られた。また、走る時にテンションの上がる自分なりのプレイリストを組むことも、楽しみの一つだった。

 

正直なところ、走り続けて約半年間で思考がポジティブになったとか、健康面が劇的に変化した実感は伴っていない。ただ、「週に一回、ランニングは出来ている」という達成感を得られていたのは、確実に自分にとってはプラスだったのかな、と。

 

 

 

 

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話はちょうど3月を迎えた頃に遡る。

自分にランニングを薦めてくれた大学時代の友人から、一つの連絡があった。

 

ハーフマラソンに出てみない?」

 

 

この誘いをもらった時に、二つ返事が出来ない自分がいた。

 

上述の通り一応陸上の経験者ではあるし、高校時代に駅伝へ出たこともある。確かその時に走った12キロが、人生の中で最長の距離だった。そんなあの時の経験が、少しトラウマになっているのである。

 

真冬の屋外で3キロの緑地を4周したのだけど、強烈過ぎたしんどさを今でも鮮明に覚えている。ユニフォームは薄着なので真冬では体温が上がらず、常に体は震えている。走り出せば冷えた風を身体中に受け止めるので、手指は末端までかじかみ、呼吸をする度に冷たい空気が肺の中へ流れ込んでくる。そして尚且つ、他校の生徒には続々とごぼう抜きされて心が折れるし、周回を重ねるごとに身体は重くなり、呼吸がどんどん乱れていく。「もう二度と駅伝も、マラソンも、絶対にやらない」と心に誓ったことを覚えている。

 

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ランニングを始めたからこそ目標として参加したい気持ちはありつつ、ハーフマラソンという前人未到の存在に挑戦する覚悟を試される気持ちに、完全な板挟み状態だった。せっかくの誘いへの返事を二週間近く考え、どうしようかと悩んでいたところに、この話を大学時代のまた別の友人になんとなく話してみた。

 

 

友人「え、ハーフマラソンとか凄くない?出るんだったら応援行くけど・・・」

俺「え、まじ????」

友人「うん」

 

(↑2000%酒の勢いでしたわ・・・)

 

 

単純すぎん?????????

 

 

というあまりにも呆気ない流れによって、人生初のハーフマラソン参加が決まった。


ダメで元々という前提があるので、細かいことは考えず大会へ向けて特別なトレーニングはしなかった。一緒に参加する友人と、一度だけ10キロ程度の距離を止まらずに完走するというのをやったくらいだろうか。本当の本当にぶっつけ本番、出たとこ勝負であった。

 

 

 

 

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そして、迎えた本番当日。


天候は曇天の中に日光が少し差し込み、川沿いには程よい風が流れるというランニングにはこの上ないコンディションだった。緊張も特にしていなかったが、漠然と目標にしていたことがある。

 

①タイムとして2時間を切ること
②一度も立ち止まらないこと

 

①は練習で10キロを走った時のタイムが60分を切ったので、倍の計算をしてこれを切りたいなという感じ。②に関しては経験則の話で、一度立ち止まってしまうと、再び走り出してもまた歩いてしまうので、身体と精神的な負担がケタ違いに変わってくるからだ。しかしこれらの目標をぶっつけ本番のランニングで、どこまで目指せるのか未知数だった。

 


そして8時30分から競技がスタート。

ここからは記憶の範囲内でその時に流れていた曲と共に、ランニングを振り返ってみたいと思う。

 

 

 

風の日

風の日

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シャッフルで一曲目に流れたのは、山本彩の「風の日」でELLEGARDENの同曲のカバーだ。ちょうど風も強かったし、オープニングを飾るに相応しい一曲だ。友人と同じペースで走ろうかと思っていたのだが、できるだけ挑戦してみたかったこともあり、早々に別々のペースで走ることに。参加者の年齢層はざっと見た感じで30代から50代の方が多かったように思う。記録狙いのガチ勢は別次元の速度で走っていたし、普段から走り慣れてそうな方もいれば、自分たちと同じように今回が初参加の方もちらほら。様々な目標を持った人たちがハーフマラソン完走に向けて走っているというのは、妙な連帯感もあり不思議な気持ちだった。

 

普段走っている4キロ地点までは、ペースを維持しつつ特に異常もなく普段どおりの走りができていたと思う。同じペースで走る参加者がちょうど目の前にいてくれたことが助けになったし、こぶしファクトリーの楽曲で確実に背中を押して貰えた。ただ、1周が5.2キロのコースが思っていたよりも”長い”ことを、体感し始める。

 

明日テンキになあれ

明日テンキになあれ

  • こぶしファクトリー
  • J-Pop
  • ¥255
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まずは1周目を終えて、2周目に突入。この時点では息苦しさも多少感じ始めるが、息を吐くことを意識しつつ、腕の振りを正せばまだ頑張ることが出来るレベル。練習で10キロを走っていたことが精神的な安定に繋がっていたのかも。しかし、折り返しを越えて、徐々に2周目のゴールが近づくと、さすがに疲労が蓄積されていく。このあたりで「ああ、ハーフマラソンなんて参加するんじゃなかった」と、安直なノリで参加を決めた過去の自分を呪い始める。ここからの本当に過酷な戦いを暗示するかのように聴こえてきたのは、「EPISODE FINAL」の主題歌だった。

 

Alive A life(Advent Mix)

Alive A life(Advent Mix)

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トータルで4周するのだが、一番辛かったのは3周目だったかもしれない。ここから未踏の10キロ超えで、自分の身体がどんなコンディションになるのかも、どれほど精神的にきついのかも、全てが未知数だったからだ。意外なことに呼吸が乱れることはなく、一定のリズムを保てていた。しかしその反面、下半身に疲労がグッと押し寄せてくる。足が上がらないのだ。まるで太ももに鉛をつけられたような感覚。気持ち的には走りたいのに、身体が言うことを聞かない。

 

ヒトリノ夜

ヒトリノ夜

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給水所も設けられており水分を補給できるのだが、これが意外と難しい。走りながらコップを手に取り、走りながら水を飲む。無理!!!!ほぼほぼ溢れてしまう。脚が上がらないのでペースは落ちていき、上手く水分補給も出来ず、しまいには片足ずつふくらはぎが吊り始めた。今思うと、よく怪我をしなかったなと思う。この時は3周目の折り返しを越えた頃で、ここからチラホラ歩き始める人が出てくる。

 

「ああ、走るのを止めたい」

「脚の疲労がやばいだるすぎる」

「一旦止まって歩きたい、そしたら楽になるんじゃないか」

精神的にも極限状態で、諦めたくて仕方がなかった。

 

STAND PROUD

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でも立ち止まった時に、後悔しないだろうか。ここで諦めたら、自分のことを嫌いにならないだろうか。ギリギリの思考回路で、これが頭によぎってくる。とにかく足を進めれば前に進むことが出来る。前に進めばゴールに近づくことができる。だから、もう少し、もう少し・・・。もはや体力がどうこうではなく、気力でどうにかしている状態。

 

Fight For Liberty(album ver.)

Fight For Liberty(album ver.)

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そして迎える4周目。この1周さえ乗り越えればゴールが出来るけど、足の吊りは酷くなるし、脚はさらに上がらなくなるし、股関節が痛くなるし、「俺、今何してるの???」という気持ちが湧いてくる。でもとにかく、止まらない。足を動かす。呼吸を整える。腕を振る。これを繰り返していく。そして迎えたラスト2.5km。

流れてきたのはBase Ball Bearの「初恋」だった。

 

初恋

初恋

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kazurex1215.hatenablog.jp

 

 

この曲が終わるまでにゴールすることを決意した。足を上げられないなら歩幅を広げる。腕を振って出来る限りのスパートをかける。自分を鼓舞しながらとにかく走る。走る。走る。そして最後のサビに差し掛かった時に、最後のコーナーに突入する。

 

そして、ゴールテープに自分の体が触れる。

 

終わった。走りきった。

 

ハーフマラソンを走りきった。

 

 


気になるタイムは・・・

 

 

目標の2時間切り!!!

 

一緒に走った友人も、自分に次いで見事にゴール。同じく2時間を切ることが出来た。

 

 

 

 

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特に怪我もなく終えることが出来たが、下半身に尋常じゃない筋肉痛が押し寄せており、まともに歩けることが出来ていない……。完全回復するには1週間くらいかかりそう。

 

走っている最中は少し後悔もしたが、ハーフマラソンに参加できてよかったと思っている。途中で諦めて歩かず、遅くても走り続けられたことは、もっと誇っていいのかもしれない。

 

よくやったよ、俺。

 

 

趣味のランニングはこれからも継続していこうと思う。これを機に普段のランニングの距離をもう少し伸ばしてみてもいいかもしれない。ハーフマラソンについては、今後参加するかどうかはハッキリしていないけど、前向きに検討はしてみようかな。

 

フルマラソン??やっちゃう??


うーーーん、もうちょっと準備してからかな……(笑)

 

 

Catch up, latency

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