(↑第9話の感想はこちら)
警察はついに、未確認生命体のアジトへ突入する。不気味な内装と怪しげなライト、複数のマネキンに謎の装飾。相変わらず悪趣味なものばかりだったが、警察の追撃も一歩遅く、未確認生命体は地下道から逃走してしまった。大活躍だった警察犬のミカド号も、逃げる途中だった未確認生命体になんと殺されてしまう。毎回ここのシーンは胸が苦しい……。
#クウガ20周年配信 リアルな防護服を調べたところ青い全身もので。それを見たナベさんは「ドラえもんみたいじゃないですか。ホントにコレでいいんですか?」と戸惑っていましたが、リアル押しだったので、ドラえもんで撮影して貰いました😆#クウガ#超配信 #kuuga#nitiasa#クウガ20周年
— 高寺成紀☺4月30日(土)13時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM (@taka_69s) 2020年10月10日
物語も第10話へ突入すると、各エピソードで描かれてきた要素の積み重ねが、『クウガ』という物語の中でしっかり活きていることがよく分かる。新たな未確認生命体が現れると、その特性と行動パターンを一条さん(葛山信吾)が探り、雄介(オダギリジョー)は通信を受けて現場へ急行する。そして桜子さん(村田和美)による古代文字解読を手がかりに打開策を練って、グロンギに対抗する。実はこの描かれ方って、『クウガ』におけるフォーマットとも言える定石パターンなんですよね。第7話・第8話におけるバチス戦も、実は初出現から撃破までをほぼ一日で終えられているのは、この三人の協力関係がばっちり噛み合っているからであって、こういうの""良い""んですよね…。
今回も初戦では未確認生命体第21号=メ・ギイガ・ギにやられっぱなしで、成すすべもなかったクウガだが、この敗北を糧にすることで最後のフォームチェンジを引き出すことができた。前回の第9話で桜子さんが解読したとおり、今度は剣を使う能力ということまで判明。雄介自身も語っていたように、ギイガは一歩間違えていればトドメを刺されていたであろう強敵だったし、そういった強者である事を印象づけた演出として、CGではなく火薬を使った爆破シーンがあったり、ブレーカーに身体が触れて火花が飛び散ったり、痛々しさの伝わってくる視覚的な効果が印象深かったな、と。
#クウガ20周年配信 当初、EP9&10の敵(タイタンフォームの相手)は、ザインを予定していましたが、皮膚が硬いからでなく、逆に衝撃を吸収し、なおかつ火を吐く(墨を吐くイメージの延長)怪人ということで、急遽イカの怪人に変更されました。#クウガ#超配信 #kuuga#nitiasa#クウガ20周年
— 高寺成紀☺4月30日(土)13時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM (@taka_69s) 2020年10月10日
そんなギイガの弱点を見つけるために活躍するのが科警研の榎田さん(水島かおり)。科学的な知見を持って、一条さんや雄介をサポートするという万能っぷりが凄まじいんだけど、仕事へ熱心過ぎるあまりに家族との時間を二の次にしてしまうこともしばしば。休日返上して現場に居合わせた榎田さんに、一条さんが向ける何とも言えない表情がすごく細かいなあ、と。(第9話)
せっかくの休みを一人息子と過ごして欲しい一方で、彼女の協力がないと事件解決に至れない部分も多いことを分かっているからこそ複雑なわけで。榎田さんと冴(さゆる)くんのドラマについては、今後に展開されるのでその時に語っていこうと思う。
そして今回のエピソードで面白いのが、“一度敵に敗北するも、特訓をして再戦に臨む”という昭和のヒーローではお決まりの展開を踏襲したこと。当時はスポ根が流行っていた時代背景もあったり、よくバラエティで面白エピソードの一つとして紹介もされているのだが、何か新たな力を授かる時や強敵にリベンジを臨むためには必要な立派な儀式なのである。
とはいっても、おやっさんにクレーン車で鉄球をぶつけてもらったり、雄介相手に警察が複数人で組手をしたりバイクで追いかけるわけにもいかないので、それを現代的にスマートに落とし込んだのが、一条さんとの剣道の手合わせだったんだな、と。
"ジャリ番"のイメージを変えるために製作された『クウガ』だけど、随所にこうした昭和ライダーへのリスペクトともいえる演出を、巧妙に落とし込んでいるのがさすがすぎるな、と。『クウガ』は一見すると、奇をてらった平成仮面ライダーの一作目に見えるのだが、実際のところは昭和の原点へ真摯に向き合った現代の「仮面ライダー」なのである。
#クウガ20周年配信 雄介と一条の剣道の稽古シーン、これも『帰ってきたウルトラマン』のオマージュです😘#クウガ#超配信 #kuuga#nitiasa#クウガ20周年
— 高寺成紀☺4月30日(土)13時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM (@taka_69s) 2020年10月10日
みのりは特訓を終えた雄介と出逢い、ついに自分の不安を打ち明ける。みのりの抱く不安を加速させたのが、幼稚園で子供たちが起こしたケンカなのだけど、ここがすごく深いなあと感じる。4号に憧れて良いことをしようとする男の子が、絵本を待っている女の子のために、他の子から取り返そうとする。でもそれは次第にヒートアップして、最終的にその絵本で相手を叩こうとしてしまう。
正しいと思ってとった行動も、些細なことでただの「暴力」になり下がってしまう。クウガとして戦う雄介が徐々に自分を見失ってしまい、気づいた時には「いつものお兄ちゃん」ではなくなっているかもしれない、という恐怖。何気ない園児たちの行動は純粋さ所以のものだし、混じりっ気がないからこそ、大人の目にはそれが生々しく映ってしまう。
「俺だって怖いよ。」
「でもやるの?どうして?」
「お前はどうして先生やってるんだよ。誰かの笑顔の為だろ?俺は俺の場所で、お前はお前の場所でやってるってだけさ。」
『クウガ』の登場人物みんなに当てはまることで、大切なのは自分の場所で自分にできることをやるだけだということ。それが雄介にとってはクウガの力なだけあって、みのりが保育園の先生をやっていることも、「笑顔」のためなのだと。ここでみのりが「やっぱりいつものお兄ちゃんだったんだ」と安心して、笑ったときの笑顔が最高に眩しい。バイクで現場に向かう雄介を、今度は晴れやかな顔で送りだすのが対照的で良いんだよなあ。
榎田さんを含めた科警研の調査によると、ギイガの放つ爆弾は自身のもつ体液から生成されており、またそれが弱点である事も判明した。熱を持つと一定時間冷やさなければならないので、ギイガは水辺の現場でゲゲルを行っていたのだ、と。
バイクでギイガに体当たりをかます雄介、今度はベルトの中心が最初から紫色に変化する。爆炎の中から現れたのは、第5の姿であるタイタンフォーム。西洋における甲冑のような銀色の鎧を身にまとい、敵の攻撃を寄せ付けない防御力を手にした。その反面、他のフォームに比べて機動性が落ちるものの、一条さんとの特訓で体得した”敵の攻撃を避けずに正面から近づき攻め立てる”という、まさに紙一重の戦いを可能にしている。スペックで言えばパンチ力はフォーム内で一番強いし、パワー型といっても差し支えはないのかな、と。
好き過ぎるポイントとしては、変身した瞬間のギターイントロがめちゃくちゃかっこいい。デデデデデーデデッ、デデデデデーデデッ、というやつ。トライチェイサーの警棒を引き抜くと、形がみるみる変わってタイタンソードへ変形。刃先が更に伸びるのが男心をくすぐられる。剣を下に構えるクウガを下から見上げる形で映すカットが、あまりにもキマりすぎていて惚れ惚れしますよね……。(このカッコいいBGMと共に、みのりが保育園に戻って子ども達と再会するシーンも挟まれるんですけど、映像とのギャップが凄いのも好き。)
ギイガの爆弾を受けても、逃げずに進み続けるクウガ。一撃を喰らえば吹っ飛び重傷を負っていた前回とは違って、攻撃が全く通じないギイガからすれば相当な恐怖だったに違いない。ゆっくりと進み相手の間合いに入ったところで、タイタンソードでギイガの腹部を貫く。これが必殺の『カラミティタイタン』。体液が体内で爆発し、ギイガは四散した。剣なんだけど袈裟斬りで仕留めるのではなく、一突きで終わらせることで一撃必殺の箔が出てくるのも良いんだよなあ、と。
次回は1クールもついに終盤を迎え、雄介の「恩師」が登場します。
立ちはだかるのは、ズ集団の最強怪人。
それでは次の更新で。
(↑第11話の感想はこちら)