
(↑第10話の感想はこちら)
ついにクウガに5色のフォームが出揃い、雄介(演:オダギリジョー)をサポートする仲間たちも安定してきたところで、今回の第11話・第12話ではあらためて五代雄介という人物にスポットが当てられる。彼が最も慕う”恩師”との関わりから「五代雄介とは何者なのか」を描き出す、1クール目の総括に相応しいエピソードとなっている。
ファンの間でもこの「約束」「恩師」の両エピソードは、必ずと言っていいほど名前が挙がっている印象がある。雄介のオリジンが語られるドラマ、クウガが真に仮面ライダーとして完成させる「あの技」、そして美しいラストシーン。これらの要素が見事に融合して、二編にまとまっていることに脱帽なのである。
#クウガ20周年配信 雄介が小学校時代の担任、神崎先生との再会を果たそうとするEP11&12は、長石多可男監督回。先生役は『仮面ライダーBLACK』でシーラカンス怪人の人間体を演じられた井上高志さんです。#クウガ#超配信 #kuuga#nitiasa#クウガ20周年
— 高寺成紀☺4月30日(土)13時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM (@taka_69s) 2020年10月17日
そんな雄介にとって「すごく大事な人」と尊敬されているのは、小学校の教師を勤めている神崎先生(演:井上高志)。神崎は長年勤め上げてきた教師という仕事において、自分のやってきたことに意味があったのかという悩みを抱えていた。
「教え子に会えなかったら、教師をやめなければならない。」
放送当時の背景として、『クウガ』の放映される二年前の1998年および1999年に、学習指導要領等が改訂されたとのこと。各教科の学習内容は3割ほど減らされ、その代わりに「総合的な学習の時間」が新設され、道徳的な教育の充実と、自ら学び考えるための「生きる力」を養っていくことが目的とされた。しかし、実際のところ授業時間の減少や教育内容の厳選によって、2003年に一部改訂、2009年にはこれらが全面改訂されるに至った。
この時代に教育を受けていた世代が、いわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる人たちであり、放映の翌年から小学一年生になった自分は、もろに直撃している。後年に「ゆとり世代」が色々と揶揄された経緯も含めて良し悪しはもちろんあるが、こうした教育方針が転換されていくように「最適な教育とは何か」を国単位でも模索しているわけである。それが地方単位で、それも小学校単位で考えたときに、どれほど難しい命題であるかは想像に難くない。
教師はその立場から生徒に何を教え、何を伝えるべきなのか。22年前の作品でも神崎の悩みに実感を覚えてしまうのは、教育という現場の抱える永遠のジレンマだということなのかもしれない。
そんな神崎と15年前に交わした"ある約束"を果たそうとする雄介の前に、かつてない強敵が現れる。サイの性質を持つ未確認生命体22号=ズ・ザイン・ダ(演:野上彰)。あのミカド号の命を奪った怪人である。
今までのグロンギと違うのは、奪った人間の命をカウントする腕輪をしていないこと。メの集団がザインの動向に驚くシーンがあったように、今回のゲゲルは「非公式」の概念に近いのかもしれない。そのため明確なゲゲルの条件が示されていないものの、トラックのエンジン音に反応し運転手を次々に襲っていく。その殺しのやり口も、頭部にある大きな一本角で腹部を突き刺すというシンプルながらエグいやり方。それに加えて、強靭な肉体から繰り出す剛力とスピード、全身を覆う皮膚はまさに鎧といえる防御力を誇り、現時点でクウガを苦戦させる最大の敵であることは確定だろう。
人間体を演じたAKIRA(野上彰)さんは当時現役のプロレスラーだったこともあり、変身せずとも、その屈強な体格からヤバそうな雰囲気をまとっていたのが印象深い。昔からこうした脳筋タイプの敵キャラがなぜか苦手なのだけど、完全にザインのせいだったな…と。常に憤怒を顔に浮かべ眼球は見開き、傍若無人な振る舞いで力任せに何物もぶっ壊す。どう動くか予測できないのが一番怖かった。
東映撮影所にロケバスで早朝に出発したあの日思い出しますねッ🌟
— AKIRA (@musasabiakira) 2020年10月17日
あの時は撮影シーンの事で必至でしたが、
この作品は今とても大切な事を伝えてくれていると思います。
この作品を愛しておりますッ👍
役作りにジャック・ニコルソンの『シャイニング』を観て望んだ事を想い出しました。 pic.twitter.com/6Dzb2kvnUK
— AKIRA (@musasabiakira) 2020年10月17日
(↑この話は初めて知りましたが、納得しかない……。あの鬼気迫る表情はこの映画から着想を得られていたのか……と。)
ここで新しい登場人物にも触れておきたい。ジャン(演:セルジュ・ヴァシロフ)に道を訪ねてきた関西弁の女の子がいたのだが(第9話)、その女の子は朝比奈奈々(演:水原詩生)。おやっさんの姪っ子でポレポレの手伝いに来たところで、雄介に初めて出会う。「連ドラの主人公みたいや…」とすっかり心を奪われてしまったみたいで、彼女は後に"五代雄介ファンクラブ会員第1号''を名乗る。(視聴者からすると、まさに今これが連ドラなんですけどね!!と言いたくなる。)
長野に戻ったジャンも遺跡の発掘を進めており、その助手として夏目実加(演:竹島由夏)も協力していた。雄介が実加を励ます際にかけた「君にもいつか何かできることがあるよ。」という言葉が、ここで活きてくることにグッとくる。
警視庁では激しさを増す未確認生命体の案件を考慮し、捜査本部が再編成された。より専門的な体制となることが決まり、一条(演:葛山信吾)がまだ東京に住まいを移していていなかったことに驚きもありつつ、アジトを強襲した際の押収品としてボードと腕輪が提示される。
少しずつ未確認生命体の情報が警察の視点で紐解かれていくのと同時に、それが視聴者の視点からしても、パズルのピースを埋めていく謎解きのような感覚になるのが上手いなあ、と。特にボードと腕輪の意味が分かった時は衝撃でした。
神崎が約束の学校へ、同時に雄介もバイクで向かう中、未確認生命体第22号=ズ・ザイン・ダが出現したと連絡が入る。そこで雄介は、桜子に自分の代わりとして約束の場所に向かうようお願いする。(このシーンが雄介の人となりをよく表していて、クウガであることも先生に会うことも、どちらも大切で蔑ろにしないって気持ちが伝わってくる。)
現場へ向かう一条の無線から聞こえる悲鳴、音でしか状況が伝わらない恐怖、現場に到着するも河原に広がっているのは警察官の死体。これまでとは何か違うことが伺い知れる。ここで雄介に場面が切り替わって、「戦士」のBGMと共に雰囲気が変わる。第5話でも同じ演出が用いられたけど、これが流れることで絶望的な状況から「雄介なら何とかしてくれる」と思わせてくれるのがすごい。
場所を移動したザインは、またエンジン音を頼りに工場の作業員を次々に襲っていくが、雄介が登場してバイクで攻撃。ターンしてもう一度…と思いきや、ザインのパンチ一つで吹っ飛ばされてしまう。ここで「戦士」のBGMが突然ブチッと途切れることの絶望。人間体のザインに猛攻を受け、変身する猶予すら与えられない。ひたすらに投げ飛ばされる雄介、砂埃で周りが見えなくなるほど体中もドロドロに。このシーンのスタントも一部本人が演じられているようで、相当に過酷な撮影だったのだろうな……と。
#クウガ20周年配信 ザインとのバトルの撮影を終えて撮影所に戻ったオダジョーは、AKIRAさん@musasabiakiraに痛めつけられて死にそうだったと悲鳴を上げてましたw#クウガ#超配信 #kuuga#nitiasa#クウガ20周年
— 高寺成紀☺4月30日(土)13時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM (@taka_69s) 2020年10月17日
#クウガ20周年配信 2話のゴオマに飛び掛かるカットと同様、クウガのザインへのジャンプはエアラムというマシンを使って演出されています。#クウガ#超配信 #kuuga#nitiasa#クウガ20周年
— 高寺成紀☺4月30日(土)13時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM (@taka_69s) 2020年10月17日
ザインが工場の資材置き場に突っ込んだ一瞬の間に雄介はクウガへ変身。雄介がクウガだと知ったザインは更にヒートアップし怪人態に姿を変える。クウガの打撃を全く寄せ付けない荒々しい攻撃とパワープレイで追い詰めていくザインの勢いに、クウガは反撃の隙も与えられない。空中高く投げ上げられたクウガの目下には、ザインの鋭利な一本角が待ち受けている。
このかつてない強敵にクウガはどう立ち向かうのか。
神崎との「約束」は果たされるのだろうか。
次回の更新に続きます。
(↑第12話の感想はこちら)
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