感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 17「臨戦」

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(↑第16話の感想はこちら)

 

 

今回の第17話は『クウガ』初の総集編である。シナリオのメインライターは荒川稔久氏であり、彼の書く物語があってこその『クウガ』なのだが、どうしても脚本の仕上がりが制作に追い付かない時があったらしい。そこで今回はきだつよし・村山桂の二人が脚本を務めている。今でこそ25年続くニチアサだが、その当時は10何年ぶりの仮面ライダー放送なため手探りな状況が続いていたのだろうかと想像する。その中で今回の「臨戦」が放送されたというわけだ。

 

 

総集編というのは基本的に同じ物を編集して再放送するだけだからあまり面白く感じられないのだが、閑話的に今回登場する未確認生命体との戦いが挟まれるおかげでその退屈さを相殺できているのが上手い。今回に限ってゲゲルの詳細やドラマを描く必要がなくなったのは、怪我の功名ではないだろうか。

 

構成としては1話~16話までに繰り広げたクウガの戦いや雄介を支える仲間たちの紹介、そして現状分かっている未確認生命体=グロンギの情報を立木文彦のナレーションにより振り返る形になっている。そのためクウガは各フォームチェンジの初活躍した回とその必殺技がピックアップされるので、美味しいところをぎゅっと詰め込んだ映像であることに間違いがない。


5月24日(土)に丸の内にて開かれる「超クウガ展開催記念 スタッフトーク付き上映会」にこの第17話が選ばれたのは非常に納得で、そうした前半部の見どころを一度に楽しめるからだ。後述するガドラ戦も夜に戦闘が繰り広げられるため、映画館のスクリーンと相性もバツグンのはず。足を運ばれる方は是非とも楽しんでいただきたい。

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あらためて総集編を通してクウガの4形態を見比べてみると、シンプルながらに秀逸なデザインだなあと思う。一目見たときの情報量がここまでコンパクトにまとめられていることに感動を覚えてるのと同時に、各フォームがアイコニックとしてはっきり存在しているからだ。基本形態となるマイティフォームは赤色のボディがまるで筋肉を模したように胸部と両肩に覆われており、このフォルムを基準として各形態で差別化がなされている。青色のドラゴンフォームは素早さと跳躍力に優れているため、体のアーマーは最小限の胸部のみ。続くペガサスフォームは格闘戦を想定していないため、射撃の反動を和らげる左肩と胸部にのみアーマーが装着。最後にタイタンフォームは両肩と胸部にアーマーが装着されているが防御力に優れているため、どのフォームよりも厚く大きなものを装着しているのだ。

 


今回登場するグロンギは、メ・ガドラ・ダ。総集編のみで活躍したこともあり他のグロンギに比べて目立たない印象があるけど、回復能力を自ら封印し受けた傷を勲章にするストイックさ、クウガの超変身を防ぎながらフィジカルで圧倒する強さを持ち合わせている。クウガとぶっ通しで約2時間30分の死闘を繰り広げていたので、実はかなりの強敵だったのではないかと感じていて、階級こそ違うがガドルに近い存在だったのかなと個人的には思っている。

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ゲゲルの詳細については分からないが、警察を狙いステゴロで襲っていた姿から想像すると、ストリートファイター系のグロンギだったのかもしれない。五代雄介(演:オダギリジョー)が駆けつけるや否や、トライチェイサーの操作パネルをぶっ壊す荒々しさはまさに猛虎。阪神タイガースもこれくらい暴れてくれていいんだよ……。

 

 

クウガ』が後年よく語られることの一つに、ストーリーが難解だったと言われることがある。我々の住む世界と限りなく近いリアル路線のドラマとキャラクターで展開されるため、やはり硬派なイメージがついてしまうのだろう。当時6歳だった自分はとりわけ『クウガ』の内容がよく分からないと思った覚えはないので、もちろん個人差はあると思う。しかしこうした総集編が挟まれたおかげで、現状の交通整理がなされたため、実はいいタイミングの放送だったのでは?と思ったりもする。

 

 

今回のガドラ戦は結果的に普段より戦闘シーンが長くなったのも功を奏したように思う。セットの車が破壊されたり地面が燃やされたり、かなり手も混んでいる。ガドラが終始優勢のまま戦いは進み、クウガは首を絞め落とされそうになるが、肘打ちがガドラの鳩尾に決まる。実はこれ鳩尾に当たったから怯んだのではなく、回復していない古傷に肘打ちがヒットしたためガドラは体勢を崩してしまったのである。ちなみに自分はここで放った強化マイティキックが一番好きだ。キックを放った瞬間に360度回転するカメラワークが素晴らしい。この演出はおそらく総集編の一回のみ。

 

 

 


次回はついにあのエピソード。
雄介、死す。

 

それでは次の更新で。

 

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(↑第18話の感想はこちら。)