本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

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感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 3「東京」第4号=クウガを射殺せよ

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kazurex1215.hatenablog.jp

(↑第2話の感想はこちら)

 

 

 

 

第1話「復活」第2話「変身」は『クウガ』という作品の世界観を描くイントロダクション的な立ち位置だと思っていて、本格的に物語が動き出すのはやっぱりこの第3話「東京」からだと思うんですよね。ストーリーが展開される中で少しずつ明かされていく情報であったり、何気なく登場したキャラクターが後々に重要な役割を担っていたり、文字通り見逃せなくなっていく。



明かされる情報として判明するのが、グロンギ=未確認生命体の実態。その中でもやはり衝撃だったのが、血液の組成が人間とほぼ同じであることなんですよね。地球上の生物と同じ特徴を兼ね備えていたグムンとゴオマも、主となる体の構成は人間とほぼ同じ。人間とかけ離れているからこその「得体の知れない恐怖」というのがあるけれど、細胞レベルの共通点が判明したことで、実は人間もグロンギも同じ生命体だという「不気味な恐怖」に変わっていくのが何とも言えなくて…。これも鑑識の結果という科学的な根拠で、説得力に厚みを与えるのが上手いんですよね。

 

 

 

 

そしてグロンギは独自の言語を話し、コミュニケーションを取っていることも明確になりましたね。このグロンギ語には特定の文法も存在しているんですけど、ぶっちゃけ初見では何言ってるのか分からないです。ただ、"何言っているのか分からないけど、理解は出来る"といったニュアンスで、視聴者に会話内容を分からせるのは演出の上手さだなあ、と。リアタイの時は幼稚園児でしたから、テキトーに濁音のカタカナを言ってグロンギ語の真似をしてましたね。語尾に「クウガ!」って付けておけば、それとなく聞こえてしまう不思議。

 

 

 

さらに初登場を果たした謎の女性、通称「バラのタトゥーの女」=「ラ・バルバ・デ」七森美江グロンギ達のリーダー格のような妖艶かつミステリアスなキャラで、怪人たちの中でも一際目を引く立ち位置に存在する。子供心にバラのタトゥー女って「なんかやべえんだろうな……」っていう感覚はありましたね。演じる七森さんの美貌も相まって底の知れない怖さを強く感じる。そんなバラのタトゥーの女を筆頭に、各地から「東京」へグロンギ達は集結する。目をぎょろぎょろさせて人間の口元を凝視する奴、どう見てもパワーでゴリ押ししそうな奴、クールな佇まいでコインを手に取る奴、グロンギの人間体はその個性も様々。

 

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もう一人今回から初登場を果たしたのが、五代雄介オダギリジョーの妹である五代みのり(葵若菜)わかば保育園の保育士で、雄介にとっては唯一の肉親。みのりちゃんの存在って、『クウガ』の物語における数少ない癒やしだったなあ、と。職業キャストの中でも保育園の先生って幼稚園児だった自分には一番近くて親近感も湧いたし、みのりちゃんを通して描かれる子どもたちの心の機敏も、『クウガ』においては重要な役割を果たすんですよね。

 

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常に後手で回るしかない警視庁も、未確認生命体の対応策を進めるための会議を開く。第0号から数えて計7体の未確認生命体が確認されていること、市民の混乱を招かないためにマスコミへの情報統制も継続、本庁からSATが使用している装備の支給が決定する。そもそもこんな会議シーンを映すこと自体、仮面ライダーの番組ではまずありえないわけですよね。この内容が全部理解できたわけではないんですけど、専門的な用語が飛び交ったり、重々しい雰囲気から感じられる大人のドラマ、これが『クウガ』におけるリアルさの堅実な土壌になっていく。



設定として本当に面白いなと思うのが、警察的にはクウガすらも「未確認生命体」のカテゴリーに数えられることなんですよね。ヒーローかどうかって視聴者側の視点でしかないわけで、劇中の人物も、一部を除けばその判別がすぐにつく訳もない。これも「ヒーロー番組」のお約束に一度立ち止まって、実際ならどう判断するだろう?を突き詰めた結果なんですよね。

 

だからこそ、対策会議で出される「未確認生命体を射殺せよ」の指示に緊迫感が生まれるんですよね。一条さん(葛山慎吾)が「2号と4号は対象から除外すべき」と強く主張しても、その証拠を出せと言われて言い淀んでしまう。とにかく一条さんに出来ることは、雄介に「もう長野へくるな」と忠告することしかないわけですけど、奇しくもグロンギは雄介のいる東京へ集結していく。

 

 

 

「東京」という特定の場所へ集結させること自体に、舞台装置の意味合いを持たせるのって、すごく革新的なアイデアだと思っていて、ヒーローものでよく疑問視されるいつも同じ場所で戦っている問題と、他の場所で怪人が出てきたらどうするの?という疑問を一気に解決してしまう。こういう隙のない作り込みが積み重ねられることが、『クウガ』という作品の信頼性に繋がるんですよね。



今回の未確認生命体第5号=ズ・メビオ・ダ(白鳥智香子)は、豹の能力を持ったグロンギで、超人的なスピードと脚力で標的を抹殺する。その脚力は軽く蹴り上げただけで、男性を壁に激突させ即死させるほどの威力を持つ。運悪く出会ってしまったチンピラ二人の内、一人は浅はかにもメビオをナンパして怒りを買い即死。もう一人は乗っていたバイクで命からがら逃げ出すが、そのスピードの前になす術もなく追い詰められてしまう。

 

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しかし、そこに駆けつけたのは長野へ向かおうとしていた五代雄介。今回のエピソードで実は雄介ってほんとに何もしてなくて、みのりに会いに行った後は「ポレポレ」をよじ登って近所のお爺ちゃんと楽しい会話をするだけ。本当に主人公なの??っていう立ち回りでただの気のいいお兄さんって感じ。でも、未確認を前にして表情がガラッと変わって、腹部に手をかざしアークルを現した瞬間に雰囲気が変わる。

 

 

クウガ』で好きな変身シーンはどれかと聞かれたら、この第3話での変身は絶対に挙げると思う。それぐらいに印象に残っているんですよね。カメラが雄介の左からぐーーっと寄って「変身!!」、ここの正面のカットと右手の位置のバランスが絶妙で……(ちょっとマニアックすぎるかも)。そして颯爽とクウガに変身し、メビオに立ち向かう。

 

 



しかしここで衝撃的な展開が訪れる。



数十台のパトカーがクウガとメビオを取り囲み、車から降りた警官は一斉に、その二体へ銃口を向ける。赤々と光り続けるパトカーのランプがこの場の緊張感を高める中、目の前のメビオは構わず襲ってくる。完全に退路は断たれ、どうしようもなくなったクウガ。ここで第3話は幕を引くんですよね。



まだ第3話ですよ??

 

当時ビックリしましたね……。曲がりなりにも主役であるクウガが、警察という実在する正義の味方に銃口を向けられている。ここまでインパクトの強い画を持ってこられるのが、リアリティを追求した『クウガ』にしか出来ないことなんだよな、と。

 

ここからクウガ=雄介はこの危機をどう乗り越えるのでしょうか。

 

 

それでは次の更新で。

 

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(↑第4話の感想はこちら。)