本当の戦いはここからだぜ! 〜第二幕〜

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感想『仮面ライダークウガ』EPISODE 1「復活」新たな英雄、新たな伝説

 

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ついに始まりました。

仮面ライダークウガ』の各話感想。

 

 

毎週やっていく企画なので、名称としていい感じのタイトルを付けたいなと考えているんですけど、こういうのが実は苦手でして……。新設したこのブログの名前もめちゃくちゃ悩んだ結果、今のブログ名に落ち着いたという経緯もあったので、その辺りは追々考えていけたらいいなあと思っています。

 

あと、毎週日曜日の更新としたんですけど、仕上がれば早めに更新しても良いのかなと思ったので、あくまで【毎週日曜日、もしくはそれまでに更新】という感じで進めていこうかな、と。どちらにせよ週末の更新に変わりはないと思うんですけどね。

 

kazurex1215.hatenablog.jp

 


そもそも『仮面ライダークウガ』とはどんな作品なのか。このブログを読んでくださっている方にもご存知ない方がいらっしゃると思うので、十二分に語り尽くされたこの作品を、今さらおこがましい限りですが、初回の初回なので少しだけ概要をまとめてみたいと思います。

 

 

 


2000年1月30日、『仮面ライダークウガ』の第1話が放送されました。新作テレビシリーズの復活で言えば「ブラックRX」以来約10年ぶり、これ以降2022年の現在まで続いていく「平成仮面ライダー」シリーズの礎(いしずえ)を築いたのが、その記念すべき第1作目となる『仮面ライダークウガ』なんですよね。

 

22年経った今でもエポックメイキングな作品として語られている所以の一つに、仮面ライダー」=「子供番組」という世間の認識に真正面から挑み続けてきたことがあります。実生活の延長で描かれているかと錯覚するほどリアルな世界観、ヒーロー番組でお決まりのパターンをほぼ全て放棄し、どこまでもリアリティを付加していく緻密な設定の数々。それらを映画やドラマのような雰囲気や画作りで魅せていくので、「仮面ライダー」の作品であることをまるで感じさせない。


しかし、あえて定石を覆したことで「仮面ライダーとは何なのか」「戦うことの意味」「作品が伝えるメッセージ」といった歴代シリーズが描き続けてきた大切なことが、実直に描かれるようになったんですよね。『クウガ』という作品の伝えたかったことで、多くのことを学んだし救われたんですけど、自分以外にもそうした方はたくさんいるからこそ、名作と呼ばれ続けるんだろうなあ、と。

 


と、これ以上語ってしまうと、「そもそも…」という前置きの前提語りが果てしなく長くなってしまうので、そうしたクウガの魅力はこれからの各話感想の中で紐解いていきたいな、と。

 

それではさっそく第1話、始めてみましょう。

 

 

※※※※※※※

 

 

 

 

 

クウガ』の物語は、長野県で謎の古代遺跡が発掘されたシーンから開幕する。アバンの映像にも出ていたように、クウガは超古代戦士というモチーフがあって、これは仮面ライダーシリーズという大枠で見ると他にあまりない出自なんだけど、特に90年代後半から00年までの特撮番組は「古代」をテーマの一つに用いる作品が多かったなあ、と。

 

ウルトラマンティガ」は超古代文明の光の巨人で、「平成ガメラ」は亡きアトランティスの守護神、「鉄甲機ミカヅキ」は謎の古代文明の遺物、などなど時代的にトレンドだったのかもしれない。この古代遺跡のセットが本当に凄くて、ついつい作り物であることを忘れるというか、実際にあったものを使っているんじゃないかと錯覚してしまう。

 


その遺跡を発掘して封印を解いてしまった事で、怪物が復活してしまう。それが未確認生命体第0号。暗がりの中だったこともありハッキリと映し出されないが、おおよそ人型ではありつつ、乱雑に伸びた髪の毛や鋭く尖った爪、そのシルエットから禍々しい姿が想像できる。

 

放送当時から今でも印象に強く残っているのが、第0号が復活した時に調査員を襲ったシーンはあまり細部まで描かずに、現場の証拠品で残されたビデオカメラでその惨劇が鮮明に映し出されること。

 

カメラからのPOV(ポイント・オブ・ビュー)を用いることで、映す視界が制限されて恐怖感も緊迫感も倍増するし、何より現場の臨場感が生々しく伝わってくるんですよね。遺跡のセットは思いっきり破壊されるし、調査員の絶叫と悲鳴、映像がときおり乱れるのも相まって、それはそれはガチで怖かったです。夢に何度か出ましたから。

 

それに輪をかけて怖かったのが、第0号によるグロンギの復活シーンで、激しい大雨の中で地中から腕が次々と生えてきて、まるでゾンビ映画のワンシーンを見ているかのようだったな、と。子供向けとかは関係無しに、徹底的に恐怖演出をやろうとする製作陣の本気を感じたのと、よくこれを朝の8時に放送してたよなあと思うわけです。

 

 

 

 

 


発掘された超古代文明の遺跡の一つである謎のベルトを手にし、グロンギとの熾烈な戦いの運命に誘われていくのは、冒険家の五代雄介(オダギリジョー)。主人公が初めて現れるシーンって、作品の中でとても大切だと思うんだけど、特に雄介のそのシーンに関してはベタ褒めしてしまうほど大好きで、画面に現れてからほんの数秒だけで、こんなにも人柄や性格がすぐに分かる初登場ってないと思うんですよね。

 

空港で迷子の子どもに語りかけるシーンが相手目線で始まるのと、その目線に合わせて自分がかがんで、励ますわけではなく自分が迷子だった時の話を語ったり、元気づけるためにジャグリングを披露したり、たったこれだけのことで五代雄介がどんな人物なのかよく分かる。ただ、事件現場となった遺跡後に乗り込もうとして怒られたり、自己紹介で「1999の技を持つ男」と書かれた名刺を差し出したり、一歩間違えたら完全な不審者なのもご愛嬌。どこか飄々として、ちょっと能天気なところもあるけど、憎めない好青年なんだよなあ、と。

 

 

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そんな雄介と共にグロンギとの戦いに身を投じていく登場人物が、第1話から既に二人登場している。雄介と共に第一線で戦い続け、クウガの良き相棒となっていく長野県警の一条薫(葛山慎吾)。一条さんと雄介の名コンビぶりこそ言うまでもなく最高なんだけど、初対面は最悪の出会い方をしていて、生真面目でザ・警察官の一条さんがまさに正反対の雄介と良きバディとなっていくプロセスも見どころだったりする。

 

雄介の友人である沢渡桜子(村山和美)は、城南大学の考古学研究室の院生。古代文字の解明を専門としているため、学問的な側面から雄介=クウガを今後サポートしていく立場になる。雄介と桜子さんの関係って、男女の関係でも単なる友人関係でもない、でも心から信頼しあっている関係性の距離感がほんとに良いんですよね。

 

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今回登場するグロンギはズ・グムン・バ、のちに呼称される「未確認生命体」の第1号。クモの特性を持ったこの怪人は、白昼堂々に高層ビルを覆う大きな蜘蛛の巣を張り巡らしながら現れた。両腕の鉤爪で警官を次々と殺し、口から出す糸はガラスを粉砕する程の強度を兼ね備えている。

 

警官達の放った銃弾は全く効かず、ポロポロと体から落ちていくシーンはとても印象に残っていて、ここでちゃんと人間では太刀打ち出来ないことを映像で表現している。また、警官が倒れていくシーンも、文字通り本当に「死」を描いていて、そこをオブラートに包まずあえて直接的に描くことが、この作品の一つの挑戦だったのだろうな、と。

 

 

長野県警を去ろうとする雄介と桜子の前に、突如パトカーが突っ込んでくる。ドアが開くとそこから第1号が現れ、雄介の持つ「ベルト」を狙おうと襲ってくる中で、また警官達が立ち向かうも、一人また一人と倒されていく。

 

調査団を襲った惨状を映像で見た時に悔し涙を浮かべ、今度は目の前で罪もない人々が命を奪われている。ここで雄介が行動する理由なんてわざわざ語らせないし、それを表情と息遣いや目の動きだけで心に訴えてくるオダギリジョーの演技力って、この時から光るものがあったと思うんですよね。

 

 

意を決して雄介がベルトを手に持ち腰に装着すると、激しい光を放って雄介の腹部へとベルトが吸い込まれていった。しかし雄介に変化はなく、第1号に圧倒されっぱなし。

 

「やられる…このままじゃ…死ぬ……!!」

 

死を覚悟し無我夢中で左拳を叩き込んだ瞬間、その腕が変化。そして左足、右手と攻撃を加えた個所から徐々に体が変化し、ついに雄介はクウガ グローイングフォームへと変身する。

 

「えっ!!白色なの!?」と、当時は相当驚きました。毎月読んでいた「テレビマガジン」で紹介されていたどの姿でもないし、アバンでもOP映像でも4色のクウガしか登場していなかったのに、第1話にしてサプライズ登場を果たすのが白色のクウガ。さらに第1話の初変身ともなれば、ポーズと見得を決めて、頭からつま先まで映してもいいものを『クウガ』はあえてそれをやらない。一気に変身するのではなく、部分的に姿が変わっていくのは斬新だったなあ、と。

 

 

 

 


クウガに変身したからといって、いきなり戦えるわけではないのがリアルなんですよね。雄介の必死さが戦い方にも表れているのが上手くて、警察車両のトラックを押してぶつけようとしたり、格闘戦というか揉み合いにしかならず、第1号にも苦戦しっぱなし。建物の壁に叩きつけられてパイプが落ちてくる描写や、建物の屋上でクウガの弾き飛ばされた先のブロックが壊れたり細かな演出も実に細かい。


第1号がクウガにとどめを刺そうとした時に、ヘリコプターが現れる。現場に駆け付けたのは一条だった。謎の怪人が2体いることに驚きながらも(ここ!こういう細かいところが大事!)、足場の不安定なヘリコプターの中から第1号にだけ、銃弾を当てることが出来る命中率って、恐ろしい確率でもあり一条さんの射撃スキルが凄すぎる。

 

そしてクライマックスは一条さんを襲おうとする第2号と、それを食い止めるクウガのヘリコプター内でのインファイト。決して派手なわけではないけど、必死で食らいつくクウガの泥臭さがたまらないのと、CGのチープさは否めないながらに、このシチュエーションで戦闘シーンを撮ろう!とした気概に溢れていて、オタク心をくすぐられてしまう。

 

 

 

次回の第2話。

ついに雄介は赤のクウガへ変身します。

 

雄介が戦う決意を固めるヒーローの誕生譚として、シリーズでも屈指の名エピソードをどう語っていこうか、楽しみと不安が半々な状態ですが、来週もしっかり向き合って感想を綴っていきたいと思います。

 

それでは次の更新で。

 

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(↑第2話の感想はこちら)